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THE WAILERS @Greenroom Festival '15

artist THE WAILERS

REPORT

マーリー黄金の楽曲群は、受け手の幸福な音楽の記憶の扉を開ける。
重さと揺れとともに、ボブ。マーリーの黄金の楽曲、流儀が今に!

 音の重力、ばんざい。そして、その重力はまぎれもなく、途方もない音楽の磁力につながる。図抜けた楽器演奏技量に裏打ちされた、途方もない重さや振幅を抱えたサウンドの、訴求力、起爆力の大きさたるや! ブルーノート東京公演に先立ち、横浜で開かれた"Greenroom Festival'15"に出演したザ・ウェイラーズの勇士(この日曜のヘッドライナーとして、彼らは登場した)に触れながら、ぼくはそんなことを痛感していた。

 ザ・ウェイラーズ。ボブ・マーリーとずっと行動を共にした唯一無二のバンド名を引き継ぎ、その黄金の楽曲群を今に届けるバンドだ。オリジナル・メンバーであるベーシストのアストン"ファミリーマン"バレットをリーダーに、2人のギタリスト、キーボード奏者、ドラマー("ファミリーマン"の息子さん)という演奏陣による冒頭のインストゥメンタルだけで、身体のなかにある共鳴板が度を超して敏感になったような心持ちになってしまう。そして、そこに往年のマーリーの塩辛いヴォーカルの持ち味を受け継ぐシンガーのドゥエイ"ダングリン"アングリンと、伸び伸びとコーラスを付ける女性シンガーのシーギー・ヴィクトリーが加わる。

 「ライヴリー・アップ・ユアセルフ」、「クッド・ユー・ビー・ラヴド」、「スリー・リトル・バーズ」、「ワン・ラヴ」といったボブ・マーリーお馴染みの曲が次々に、しっかりしたサウンドと確かな歌唱のもと届けられる。そして、それらは聞き手が自らの内に溜めて来た幸福な音楽の記憶の扉を開け放つ。肯定的なキブンが、さあっと広がる。なんかその様、ザ・ビートルズ曲満載でシング・アロング状態となる、ポール・マッカトニーの公演みたい? 今年はボブ・マーリー(1945〜81年)が生まれて、ちょうど70年。当然のことながら、それらの人間味に満ちたメロディやメッセージやサウンド流儀は色あせず。ファミリーマンたちはその存在の重みを噛み締めるかように、オーディエンスに働きかける。

 ボブ・マーリー、ひいては米国のR&Bへの憧憬をバネにジャマイカのあっと驚く創造性を介して生み出されたレゲエ表現の掛け替えのない魅力や効用を、ザ・ウェイラーズの面々は堂々と開示。そんな彼らは中東から日本入りしたが(この後は、米国を回る)、まさに彼らはレゲエ大使といった趣もあり。そして、通算3度目となるブルーノート東京のステージでも、そうした実像は遺憾なく、より直接的なヴァイブとともに届けられるはずだ。

text : 佐藤英輔
出版社勤務を経て、フリーランスの物書きとなる。グルーヴと飛躍する感覚と酔狂さがある音楽が好み。ライヴを中心に扱ったブログはこちらから

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