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GREGORY PORTER

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


男性ジャズ系ヴォーカルを牽引するシンガー・ソングライター、グレゴリー・ポーターが来日中です。伴奏メンバーはチップ・クロフォード(ピアノ)、アーロン・ジェームズ(ベース)、エマニュエル・ハロルド(ドラムス)、佐藤洋祐(アルト・サックス、フルート)という不動の顔ぶれ。初日のファースト・セットから力強い歌声、バンドの絶妙なコンビネーションは魅力全開です。

かねてから、ぼくは不思議に感じていました。世の中のジャズ・シンガーと呼ばれるほとんどのひとたちは、どうして70年も80年も前に作られた曲を歌うことが多いのだろう。ビング・クロスビーやフランク・シナトラの時代ならともかく、大昔にミュージカルや映画で使われた曲が、今を生きているその歌手とどんな関係があるのだろう。歌謡曲でもロックでも他のポピュラー音楽は基本的に新曲が主体なのに、どうしてなんだろう。グレゴリーは基本的に自作曲でジャズを表現します。現在進行形のメッセージを歌に込め、自分の言葉で表現するのです。しかもそれは決してひとりよがりになることなく、適度にファンキー、適度にポップです。聴くほうは、その曲に長年慣れ親しんだような気持ちで、肩の力を抜いて楽しめます。

「これまで出してきたすべてのアルバムから選曲した」というMC通り、『ウォーター』から「1960 What?」、『ビー・グッド』から「On My Way to Harlem」「Work Song」(オスカー・ブラウンJr.のカヴァー)、第56回グラミー賞の最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバムに輝いた『リキッド・スピリット』から「No Love Dying」「Musical Genocide」等を聴かせてくれました。グレゴリーは2年前の「ブルーノート東京」初登場時よりもさらに貫禄がついた感じで、マイクから意図的に離れて生声でシャウトしたり、ファルセットを混ぜたスキャットで観客を乗せていくあたり、まさしく第一人者の風格があります。ブロードウェイ・ミュージカルでも活動してきたというだけあって、一挙一動が絵になり、目をひくのです。時にエフェクターを使いながら"ひとりサックス・アンサンブル"的な効果も生み出す佐藤をはじめ、どのメンバーもふんだんにソロをとり、卓越した実力を発揮していました。"グラミー・ウィナーの真髄"を直に感じられるステージ、ぜひどうぞ!
(原田 2015 5.21)

SET LIST

2015 5.21 THU.
1st
1. WATER
2. ON MY WAY TO HARLEM
3. NO LOVE DYING
4. LIQUID SPIRIT
5. WOLFCRY
6. WORK SONG
7. MUSICAL GENOCIDE
8. HEY LAURA
9. 1960 WHAT?
EC. THE WAY YOU WANT TO LIVE
 
2nd
1. PAINTED ON CANVAS
2. ON MY WAY TO HARLEM
3. BE GOOD
4. MUSICAL GENOCIDE
5. WATER UNDER BRIDGES
6. LIQUID SPIRIT
7. WOLFCRY
8. WORK SONG
9. THE WAY YOU WANT TO LIVE
10. FREE
11. BUT BEAUTIFUL

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