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SENRI OE NY TRIO "Collective Scribble Tour" 2015

artist 大江千里

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ニュー・アルバム『Collective Scribble』も好評の大江千里が、ニューヨークの仲間たちと凱旋ツアーを開催中です。横浜、大阪、札幌、名古屋公演を経て、5月5日と6日には「ブルーノート東京」でライヴを行ないます。ぼくは5日、ファースト・セットに足を運びました。
このファースト・セットは子供の日にちなみ、20歳未満も大歓迎のステージでした。

幅広い年齢層が、今か今かと主役の登場を待っています。大江千里はまずソロ・ピアノで演奏し、続いてヤシーン・ボラレス(ソプラノ・サックス、テナー・サックス)、ジム・ロバートソン(ベース)とのトリオ演奏に移ります。彼らはいずれも、大江と同じくニューヨークの名門校「ニュー・スクール」出身です。ドラマーはいません。ピアノ~サックス~ベースというトリオ編成は比較的珍しいものですが、どこか室内楽的、ニュー・エイジ・ミュージック的な音作りは、これまでの帰国公演とはまた違った趣がありました。

大江のピアノは時に端正、時にドラマティックに旋律を描きます。MCで語っていたところによると、3歳から小学校2年生ぐらいまでクラシック・ピアノを習い、そのときに作曲の面白さにも目覚めたそうです。そして'80年代にはシンガー・ソングライターとしてオリコン・チャートを賑わすことになるのですが、まさか自分が歌手になるとは想像もしていなかったとのことでした。

アコースティック・ピアノによるインストゥルメンタルに集中して数年が経つとはいえ、独自のポップ・センスは今もきらめいています。そのメロディを、主にソプラノ・サックスでしっとりを奏でるのがフランスとチュニジアの血を受けたヤシーンです。彼はこれまでリチャード・ボナ、シーラ・ジョーダン、プラシド・ドミンゴらと共演し、スナーキー・パピーも所属していたレーベル"ローパドープ"からアルバムを出してもいます。

また、このステージは、アレンジャーとしての大江千里にも光を当てたものとなりました。「Zui Zui」、「365 Steps」はそれぞれ日本の有名な童謡と、水前寺清子のマーチを編曲したものですが、テンポを落とし、新しい和音を加えながら、叙情的な世界を描いていくあたり、実に聴きごたえがありました。本編ラストの「PND」は大江千里のレーベルと音楽出版社の名前で、Peace Never Diesの略。ニューヨーク移住後の彼のテーマ・ソングといえるナンバーだけに、この日もとりわけ大きな拍手が沸き起こっていました。
(原田 2015 5.5)

SET LIST

2015 5.5 TUE.
1st
1. SENRI BEST
2. AKIUTA
3. FRIED GREEN TOMATO
4. BOOK HIM
5. AUTUMN CONFIDENTIAL
6. DR.DAN’S CURE
7. ANSWER JULY
8. ZUIZUI
9. 365 STEP
10. LEXINGTON AVENUE 3AM
11. SCRIBBLE
12. PND
EC. PEACE
 
2nd
1. SENRI BEST
2. FRIED GREEN TOMATO
3. SCRIBBLE
4. WONDER
5. CUE KISS
6. SKETCH
7. TOMMY
8. WINTER
9. SUMIDA
10. ZUIZUI
11. BOYS MATURE SLOW
12. PEACE

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