原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

公演の決定がアナウンスされたのが、今週の始め。告知期間は1週間にも満たないものでした。しかし、会場は立錐の余地もないほどの超満員です。ファースト・セットが始まる前から、クロークにつながる階段にはセカンド・セットの入場を待つ長蛇の列ができています。改めて上原ひろみの高い人気、そしてオーディエンスの皆様の軽快なフットワークに感じ入りました。

今回のライヴは、ソロ・ピアノによるパフォーマンスです。アンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスと組んだ"ザ・トリオ・プロジェクト"も大好評継続中ですが、そちらが百戦錬磨の大ベテランとの丁々発止だとすれば、ソロによる演奏は"自身との対話"といったところでしょうか。世界的な存在となっても以前と少しも変らないゆるめのトークをはさみながら、時にパワフルに、時にリリカルに、時にユーモラスに、アコースティック・ピアノから様々な表情を引き出しました。フレーズの合間に聴こえてくる気合の入った声、ふわふわの髪を振りながらの熱演に会場は沸きっぱなしです。曲ごとに色調を変えた照明も、ステージの大きなアクセントになっていたと思います。

ぼくは初日のファースト・セットを聴きましたが、セカンド・セットではまったく違う曲を演奏したとのことです。明日からの公演では、いったいどんな演奏で楽しませてくれるのでしょうか。多くのファンを惹きつけてやまない上原ひろみの音楽世界を、ぜひ至近距離でお楽しみください！
(原田 2015 4.17）