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ANTONIO SANCHEZ & MIGRATION @BLUE NOTE TOKYO

artist ANTONIO SANCHEZ , JOHN ESCREET

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


絶好のタイミングでの来日です。アカデミー賞で4部門を受賞、先週末から日本でも上映中の映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の音楽を担当したアントニオ・サンチェスが今、日本で熱演を繰り広げています。これまでパット・メセニー、チック・コリア、ゲイリー・バートン、マイケル・ブレッカーらと「ブルーノート東京」に出演してきた彼ですが、自身のユニット"マイグレイション"での来訪は初めて。気合が入りまくったプレイを、約100分にわたって堪能させてくれました。

メンバーはいずれも精鋭ぞろいです。ベン・ウェンデル(カナダ出身)は"ニーバディ"というグループの一員としても活動するサックス奏者。オースティン・ぺラルタ、ティグラン、ダン・テファーといった近年のピアノの才人(もっともぺラルタはあまりにも若くして亡くなってしまいましたが)からジェイソン・ムラーズまで、様々なアーティストから引っ張りだこです。ベースのマット・ブルーワはつい先日、ゴンサロ・ルバルカバのバンドでブルーノート東京に出たばかり。その時は眉間にしわを寄せたような表情で演奏していましたが、この"マイグレイション"ではごく自然に笑顔がこぼれ、実にリラックスしているように見えました。彼は米国オクラホマ州出身です。そしてピアノは、「ミュージック・マガジン」や「ステレオサウンド」でもリーダー・アルバムが絶賛されたジョン・エスクリートが担当します。エヴァン・パーカーからアンブローズ・アキンムシーレまで錚々たる共演歴を持つ英国出身の鬼才ですが、この日は意外なほどハービー・ハンコックへの強い敬愛を感じさせるプレイを聴かせてくれました。以上3人をときに煽り、ときに包み込むドラマーこそ、メキシコ出身のアントニオ・サンチェス。国籍の異なる才人がニューヨークで出会い、結成されたのがこの"マイグレイション"(移住者)なのです。

ぼくは全員のファンであるため、目と耳のやりどころに困るほど充実した時間を味わいました。曲はすべてアントニオの自作で、アルバム『New Life』からのものが中心。テーマ➡アドリブ➡テーマという、過去70年も続いてきた伝統的なモダン・ジャズのフォーマットに沿った演奏で、しかも1曲が20分近くあるのですが、テーマ・メロディの面白さ、アドリブ部分のフレーズの豊かさ、多彩なリズムなどが相乗効果をあげて、色とりどりの世界へ案内してくれるのです。メセニーやチックとの共演でアントニオを知ったファンはもちろん、「バードマン」の鑑賞者、ドラム・ファン、そして「アコースティック・ジャズはまだまだ面白くなる」ことを信じているファン、その皆さんすべてに見て、感じていただきたい圧巻のステージがここにあります。

公演は「コットンクラブ」に場所を移し、17日まで続きます。
(原田 2015 4.15)

●ANTONIO SANCHEZ & MIGRATION
2015. 4.15 wed. - 4.17 fri. コットンクラブ
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Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2015 4.14 TUE.
1st
1. UPRISINGS & REVOLUTIONS
2. MEDUSA
3. NEW LIFE
4. LEVIATHAN
EC. FIRENZE
 
2nd
1. CONSTELLATIONS
2. NAR-THIS
3. NEW LIFE
4. NIGHTTIME STORY
5. THE REAL MCDADDY
EC. I MEAN YOU

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