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GONZALO RUBALCABA QUARTET -Tribute to Charlie Haden-

artist GONZALO RUBALCABA , GONZALO RUBALCABA TRIO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


キューバの鬼才ピアニストは、親子ほど年齢の離れたアメリカ人ベーシストと出会ったことで、いちやく世界的な存在になりました。

1989年、カナダのモントリオール・ジャズ・フェスティバルでは1週間にわたってチャーリー・ヘイデンの特別公演が行われました。ドン・チェリー、パット・メセニー、ジョー・ヘンダーソン、ポール・ブレイなど錚々たる面々が日替わりで登場し、圧倒的な演奏を聴かせましたが(メセニー以外はすべて商品化されています)、その中でも飛び切り新鮮な印象を与えたのがゴンサロのプレイでした。エレクトリック楽器を駆使したサウンド作りでキューバ音楽に刺激を与えていた20代半ばの才人が、ワールドワイドで認められるべきアコースティック・ジャズ・ピアニストであることが証明されたのです。そして翌90年、ヘイデンとゴンサロのコンビは、今度はゴンサロをリーダーにしてスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルへ出演します。この時の演奏は日本の東芝EMI(当時)から『ゴンサロ・ルバルカバ・トリオ・アット・モントルー』というタイトルで発売され、わが国でもいちやく彼は"驚異の新人"としてクローズアップされます。

ゴンサロとヘイデンの交流はその後も続き、ヘイデンのリーダー作『ノクターン』や『ランド・オブ・ザ・サン』ではさらに香り高さを増したゴンサロのピアノ・プレイを味わうことができます。ヘイデンは残念ながら昨年、77歳で他界してしまいましたが、"恩人"へのゴンサロの敬慕は高まるばかりのようです。今回のステージは、ウィル・ヴィンソン(アルト・サックス)、マット・ブルーワ(ベース)、マーカス・ギルモア(ドラムス)というニューヨーク最前線の顔ぶれとの共演です。この3人はアーロン・パークス(ピアノ)やラーゲ・ルンド(ギター)を加えたヴィンソンのバンドとしてもライヴ活動をしているので、ヴィンソンの人脈にゴンサロが加わったという見方もできることでしょう。もちろん演奏は、ゴンサロのディレクションに沿って進みます。譜面を凝視しながらの、シリアスで重厚なパフォーマンス。それは、物音ひとつ立てさせないほどの緊張感を伴いながら進みました。

曲目は「Nightfall(Ellen David)」、「First Song(For Ruth)」、「Sandino」などヘイデン・ファンなら誰でも知っているであろうメロディが中心。そこにパット・メセニー作「Hermitage」(ヘイデンはカルテット・ウエストのファースト・アルバムで演奏していました)、'91年にヘイデンとジャック・ディジョネットとのトリオでプレイした「Blue In Green」(マイルス・デイヴィスとビル・エヴァンスの合作という説があります)などが加わります。相変わらずゴンサロはラストの短いメンバー紹介以外、一切MCをせず、淡々とプレイするだけですが、彼のヘイデンに寄せる思いは、"音"そのものとして、どのオーディエンスにも伝わったに違いありません。
(原田 2015 4.5)


●GONZALO RUBALCABA - piano solo -
2015. 4.8 wed. コットンクラブ
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Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2015 4.5 SUN.
1st & 2nd
1. SANDINO
2. LA PASIONARIA
3. BLUE IN GREEN
4. NIGHTFALL
5. TRANSPARENCE
6. HERMITAGE
7. BAY CITY
8. FIRST SONG
EC. SILENCE

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