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CHARLIE HUNTER & SCOTT AMENDOLA

artist CHARLIE HUNTER , SCOTT AMENDOLA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


多弦ギターの超人、チャーリー・ハンターが久しぶりに来日しています。しかも今回は、約20年ものあいだ交友を続けているドラマー、スコット・アメンドーラとの二重奏。息の合ったコンビネーションが見事です。

チャーリーは1999年にレオン・パーカーと組んで『デュオ』というアルバムを発表したことがあります。驚くほどシンプルなドラム・セットでメロディアスなプレイを展開したレオンに対し、スコットはあくまでも強烈なリズムを打ち出しつつ、様々なオカズ(装飾音)を入れてチャーリーのプレイを盛り立てます。あるときは右手に持ったタンバリンで16分音符を刻みつつ左足で4分音符を踏み、さらに左手で8分音符のアクセントを入れながら右足でバスドラを華麗に連打。スティックとブラッシュを瞬時に持ち替え、シンバルだけではなく(おそらく特製であろう)ハート型の鉄板も打ち鳴らしてサウンドに彩りを加えます。スコットはチャーリーのほかにも、ビル・フリゼール、パット・マルティーノ、ネルズ・クライン、ジム・キャンピロンゴなど数々の名ギタリストと共演を重ねてきました。きっと彼自身もギターと一緒にプレイすることが大好きなのでしょう。ところでスコットは、シンガーのマイク・パットンのバンドにいたこともあります。マイクも今"フェイス・ノー・モア"で来日中なので、日本で旧交を暖める機会があるかもしれません。

いっぽうのチャーリーは、往年のトレードマークであった8弦ギターから7弦ギターに持ち替えての登場です。楽器を変えた理由を「8弦ギターが重かったから」と語っているチャーリーですが、確かに今回の7弦ギターは横幅も厚みもぐっと絞られた感じです。8弦の頃はギター・アンプとレスリー・スピーカー(オルガン演奏でよく使われる)の両方につないで演奏しており、オルガンとギターが同時に鳴っているような印象を与えましたが、今回はより"ギターらしい"音でした。とはいってもギター・フレーズとベース・ラインが同時に聴こえてくる「どうやって弾いているのかわからない超絶技巧」は健在。うなるしかありません。
ふたりは今回の来日のために、約25曲のレパートリーを用意しています。そのときの空気に合わせて、その中から楽曲をピックアップしていくのです。ぼくが見た初日のセカンド・セットではジョン・レノン「Jealous Guy」、ジャクソン5「I Want You Back」等を交えた、実に親しみやすいプログラムで楽しませてくれました。サーフ・ロック調にアレンジされたデューク・エリントン「Rockin' In Rhythm」も印象深ければ、オスカー・ピーターソンやチェット・ベイカーもとりあげたスタンダード・ナンバー「I've Never Been In Love Before」では古き良きジャズのど真ん中を行くようなプレイを展開しました。

最少編成で生み出される最大のグルーヴ、といったところでしょうか。ギターやドラムスをやっている方、バンドに所属している方であれば、目からウロコが落ちる瞬間も多々あると思います。公演は今日まで!
(原田 2015 2.18)

SET LIST

チャーリー・ハンター&スコット・アメンドラ公演のセットリストは “ライブをご覧いただく皆様の当日のお楽しみに” とのアーティストの要望により、HPには掲載しておりません。

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