原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ありそうでなかった顔合わせが、「コットンクラブ」と「ブルーノート東京」に登場します。ケニー・バロン、ロン・カーター、ベニー・ゴルソン、レニー・ホワイトからなる"ザ・カルテット・レジェンド"の公演です。ぼくは7日、「東京JAZZ」で行なわれた彼らの演奏を聴きました。

ステージを見た限り、演奏のイニシアティヴはカーターが握っていたように感じられました。たしかにカーターはゴルソンやホワイトを迎えてアルバム『スターダスト』（2001年）を作ったことがあり、'70年代後半に率いていたバンドではバロンがピアノを弾いていました。そしてカーターとホワイトには"マイルス・デイヴィスと共演"、ゴルソンとバロンには"ディジー・ガレスピーと共演"という共通点があります。

演奏曲はメンバーそれぞれが持ち寄っており、ホワイトが'80年代にチック・コリアやフレディ・ハバードとのレコーディングのために書いた「L's Bop」が演奏されたのも個人的には驚きでした。また、カーターはまったくのソロで「You Are My Sunshine」を弾きました。途中、ごく自然にバッハの無伴奏チェロ組曲のフレーズが挿入されるあたり、バッハ作品集を発表したことがあるほどバッハを敬愛している彼ならではの趣向といえましょう。稀代のメロディ・メイカーであるゴルソン（今年85歳）の楽曲は「Stablemates」、「Blues March」、「Whisper Not」が選ばれましたが、どの曲も数小節プレイされた時点で、とても大きな拍手が巻き起こります。「親しみやすく、美しい旋律の書けるゴルソン級の作曲家が若手中堅ミュージシャンの中に５、６人でも現われたら、ジャズ界はさらに面白いものになるだろう」と思いながら、ぼくは名曲の数々に浸りました。

百戦錬磨の4人だけに、レパートリーも日によって異なるはずです。クラブ公演では、いったいどんな曲で我々ファンを喜ばせてくれるのか。楽しみです。
(原田 2014 9.9）

------------------
●THE QUARTET LEGEND
featuring KENNY BARRON, RON CARTER, BENNY GOLSON & LENNY WHITE

2014 9.9 tue. - 9.10 wed.　@コットンクラブ

2014 9.11 thu. - 9.12 fri. @ブルーノート東京

(c)13th Tokyo Jazz Festival