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PRESERVATION HALL JAZZ BAND

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


音楽の都、ニューオリンズが誇るジャズ音楽堂「プリザヴェーション・ホール」。そこから生まれたグループ"プリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンド"(PHJB)が遂に来日しました。「フジロック・フェスティバル」出演を経て、今、ブルーノート東京をマルディグラ・カーニバル状態にしています。

ぼくがブルーノートのスタッフから「PHJBの出演を考えている」という話をきいたのは、もう3~4年前のことです。「それはいい!ニューオリンズの名物バンドを"出前"で楽しめるなんて、最高じゃないですか!!」と、たまらなく嬉しくなったことを思い出します。そして2014年夏、マイ・モーニング・ジャケットのジム・ジェームズをプロデューサーに迎えた最新作『ザッツ・イット!』、これまでのバンドの歴史をまとめたコンピレーション作品『ザ・ベスト』が話題を呼んでいるさなか、いうなればベストのタイミングで彼らの来日が実現したのです。もっともPHJBというバンド自体は1976年、アメリカ建国200周年のときにも日本を訪れています。しかし当時のメンバーはもう、ひとりもいません。名称だけは残しつつも、常に新鮮な人材を導入して、ニューオリンズ・サウンドの活性化を図っているわけです。

この日、ブルーノート東京に登場したメンバーは計8人。リーダーのベン・ジャフィは、「プリザヴェーション・ホール」最初のオーナーでチューバも吹いたアラン・ジャフィの息子。小さい頃からジャズをはじめとする様々な音楽に囲まれて育ちました。チューバやバンジョーも演奏しますが、ぼくが見た初日のファースト・セットではコントラバスを弾いていました。クラリネットとサックスのチャーリー・ゲイブリエルは82歳を迎えた大ベテラン。ドラムスのジョセフ・ラスティJr.は、ルー・ドナルドソンの『アリゲーター・ブーガルー』やドクター・ジョン『ガンボ』に参加していたコルネット奏者メルヴィン・ラスティの親戚です。大きな体にスーザフォンを巻きつけて、踊るように演奏するロネル・ジョンソンはまた、卓越したヴォーカリストでもあります。いや、ゲイブリエル、トランペットのマーク・ブロー、テナー・サックスのクリント・メドゲン、トロンボーンのフレディ・ロンゾ(「いわゆるテイルゲイト・スタイルで演奏できる最後の人物」と紹介されました)、それぞれが曲によってリード・ヴォーカルをとります。口ずさみたくなるようなメロディ、躍動感たっぷりのリズム、華やかなアドリブ、そしてノリノリのヴォーカル。これらを兼ね備えたバンドが、楽しくないはずはないのです。

演目は前述2アルバムからのものが中心。伝統的なニューオリンズ・ジャズあり、クラーベの利いたラテンあり、ロックンロール風あり、ゴスペルありと、本当に多彩です。新曲「That's It」は、東京スカパラダイスオーケストラやブラック・ボトム・ブラス・バンドのファンにもぜひ聴いてほしい!公演は本日までです。
(原田 2014 7.29)

SET LIST

2014 7.28 MON.
1st
1. THAT'S A PLENTY
2. EL MANICERO
3. JUST A CLOSER WALK WITH THEE
4. I'LL FLY AWAY
5. SUGAR PLUM
6. COME WITH ME
7. I THINK I LOVE YOU
8. DIPPERMOUTH
9. RATTLIN BONES
10. THAT'S IT!
EC. WHEN THE SAINTS GO MARCHING IN
 
2nd
1. THAT'S A PLENTY
2. BOURBON STREET PARADE
3. TOOTIE MA IS A BIG FINE THING
4. SAINT JAMES INFIRMARY (SLOW & FAST)
5. EL MANICERO
6. BAISIN STREET BLUES / BAND INTROS
7. COME WITH ME
8. I THINK I LOVE YOU
9. ICE CREAM
EC1. DEAR LORD
EC2. THAT'S IT!

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