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SADAO WATANABE Tribute to CHARLIE MARIANO

artist SADAO WATANABE

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


超満員の店内は、名匠の登場を今か今かと楽しみにしています。今回の公演も老若男女、いろんな層が客席に揃っています。「親子三代でファン」という方も数多く駆けつけたのではないでしょうか。

今回の渡辺貞夫公演のサブタイトルは"Tribute to チャーリー・マリアーノ"。マリアーノは彼の敬愛するアルト・サックス奏者です。1940年代から活動を開始し、スタン・ケントン・オーケストラやシェリー・マンのグループで活動。一時期、秋吉敏子と結婚していたことから日本に滞在していたこともあります。'60年代後半にはインド音楽やロックを取り入れたサウンドにも取り組み、'70年代以降は主にドイツで活動を続けました。渡辺貞夫とマリアーノの共演盤には『ナベサダ&チャーリー』('66年)、『イベリアン・ワルツ』('67年)、『Sadao and Charlie Again』(2005年)等があります。共演者は、その2005年作品にも入っていたボブ・ディーゲン(ピアノ)とディーター・イルク(ベース)に、ふたりの推薦で新たに加わったモーテン・ルンド(ドラムス)の3人です。

ディーゲンは渡辺貞夫が米国ボストンのバークリー音楽院('70年にカレッジになりました)に留学していた頃からの知り合いで、'62年から'64年にかけて何度も共演したそうです。「当時は紅顔の美少年」だったとか。アメリカ出身のピアニストですが、'70年代半ばからは拠点をヨーロッパに移しています。ドイツ生まれのイルクは生前のマリアーノが最も高く評価していたベーシストのひとり。薬指や小指(とても長くて太い)までも用いた超絶技巧は一見の価値ありです。加えて、太く強靭なビート、豊かな生音の持ち主でもあり、もっともっと日本で知られるべき才人といえましょう。デンマーク出身のルンドをぼくが初めて見たのは、たしか2008年の横濱ジャズ・プロムナードでしたが、その頃よりもプレイ、立ち居振る舞い、すべてが堂々としています。演奏する楽しみに溢れた叩きっぷりは、リスナーを無条件に喜ばせてくれます。

レパートリーは故人の自作曲「Bye Bye Babe」、マリアーノと渡辺貞夫のルーツのひとつである"ビ・バップ"の代表的ナンバー「Blue 'n Boogie」、'76年のアルバム『アイム・オールド・ファッション』でも演奏されていた8分の6拍子「Episode」等。メンバー4者による音の語らいは、アコースティック・ジャズの魅力をたっぷり伝えてくれました。鳴り止まぬ拍手の中、再びステージに登場した渡辺貞夫は、「もう全員で練習してきた曲はすべて演奏してしまったから」と、無伴奏アルト・ソロでブラジルの名曲「Carinhoso」を聴かせてくれましたが、これも絶品。あのワン&オンリーのトーンが、マイクを使わないまったくの生音で、ブルーノート東京の店内を優しく満たしました。
(原田 2014 7.7)

SET LIST

2014 7.6 SUN.
1st
1. ONE FOR YOU
2. PLUM ISLAND
3. TREE TOPS
4. LOPIN'
5. I'M OLD FASHIONED
6. IF I COULD
7. SIMPATICO
8. CHEGA DE SAUDADE
9. LIFE IS ALL LIKE THAT
EC1. YOU BETTER GO NOW
EC2. SMILE
EC3. SOLO : POR TODA A MINHA VIDA
 
2nd
1. TOKYO DATING
2. BUTTERFLY
3. BYE BYE BABE
4. EPISODE
5. MY FOOLISH HEART
6. CALL ME
7. OUTRA-VEZ
8. BLUE ‘N BOOGIE
9. LIFE IS ALL LIKE THAT
EC1. SMILE
EC2. SOLO : CARINHOSO

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