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ANDY ALLO @Motion Blue yokohama

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笑顔でファンク!
プリンスに寵愛された麗しきソングバードの初来日公演


 写真のとおり美しく可愛らしい女性。立っているだけで絵になるのはモデル/俳優としても活躍しているからなのでしょうか。カーリーなアフロ・ヘアにキュートな小顔、スレンダーなスタイルでラヴリーな歌声を放つ様はエスペランザ・スポルディング、あるいは今年2月に[ブルーノート東京]で公演を行ったニック・ウェストを思わせます。ですが、このアンディ・アローは、ベースではなくギターを抱えて歌うシンガー/ソングライター。アフリカのカメルーン共和国出身で、移住した米サクラメントで音楽活動を始め、現在までに2枚のソロ・アルバムを発表していますが、プリンスのニュー・パワー・ジェネレーションにギタリスト/ヴォーカリストとして参加したことで広く注目を集めました。

 そんな彼女の初来日公演は[モーション・ブルー・ヨコハマ]からスタート。キーボード、ベース、ドラムスの男性3名を従えて、序盤では2枚のアルバムそれぞれの後半に登場するバラード調のナンバーを歌い始めました。透明感のあるチャーミングな歌声はデニース・ウィリアムスやローズ・ロイスのグウェン・ディッキーにも通じていて、まずはその美声でオーディエンスを魅了します。が、それ以上に会場を沸かせたのは、メイシオ・パーカーやトロンボーン・ショーティも参加したプリンス監修のセカンド・アルバム『Superconductor』(2012年)からのグルーヴィなナンバー。CDでも印象的だったスラップ・ベースを巨体のフランク-クリフ・ジャンが黙々と弾く"When Stars Collide"、アコースティック・ギターのソロやアドリブの歌唱を交えた"Yellow Gold"、そして「気に入りの曲なの」と言ってショウの終盤を盛り上げたミディアム・ファンク"People Pleaser"など、プリンスのカラーが滲むこうした曲では、手拍子を取り、足踏みをせずにはいられないほどです。ファンクをやるからといって凄みをきかせるのではなく、終始可愛らしい笑顔を振りまくアンディ。遠慮がちにお客さんにコーラスを求める仕草にもキュンときました。

 プリンスに寵愛された女性アーティストということもあってか、どことなく80年代の雰囲気が漂うアンディですが、自主リリースしたデビュー・アルバム『UnFresh』(2009年)からの"Hooked"などではヒップホップ世代らしいエッジも感じさせます。また、ボブ・マーリーの"Waiting In Vain"をはじめ、マーヴィン・ゲイの"Let's Get It On"をしっとりとメロウに歌い、ブルース・スプリングスティーンの"Dancing In The Dark"をスロウ・テンポにして歌うなど、自身の音楽趣味やルーツを伝えるようなカヴァーも好演。さらに終盤では本国で公開していたアコースティック・セッションを再現し、ギター一本で新曲の"One Step Closer"も披露してくれました。

 本日から2日間は[ブルーノート東京]での公演。麗しきソングバードの初々しくもエナジー溢れるステージをお見逃しなく。

text : 林 剛
R&B/ソウルをメインとする音楽ライター。専門誌への寄稿やCDライナーノーツの執筆などを行う。6月25日(水)深夜25:00〜JFN系列『BIG SPECIAL』(フィリー・ソウル特集)にゲスト・パーソナリティとして出演予定。

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