LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


LARRY HARLOW'S LATIN LEGENDS OF FANIA featuring NICKY MARRERO

artist LARRY HARLOW , NICKY MARRERO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


サルサ・ファン、いや、熱い音楽を好むファンなら誰もがお世話になったことがあるに違いないレーベル"ファニア"。その黄金時代を築いた面々が今、ブルーノート東京に集結しています。題して"ラリー・ハーロウズ・ラテン・レジェンズ・オブ・ファニア・フィーチャリング・ニッキー・マレーロ"。

ラリー・ハーロウは、才能が服を着ているような人物です。今回のステージの前に、ぼくは中村とうよう・著「なんだかんだでルンバにマンボ」に掲載されているロング・インタビュー(1976年)を読み返したのですが、ユダヤ系である(ラテン系ではない)ラリーが、ラテン音楽に心を奪われ、とことん愛し、熱中し、ついにラテン界のトップ・クラスへと登りつめていく過程は、まさに「好きこそものの上手なれ」、「努力にまさる天才なし」という言葉を思い出させてくれます。彼の元に集まるメンバーは、彼と一緒に演奏することを心から楽しみ、オーディエンスと同じ喜びを共有することに生きがいを感じているように見えました。

ハーロウが下手(しもて)でキーボードを弾きまくると、上手(かみて)ではニッキー・マレーロがティンバーレスを連打します。「こんなに小柄なのに、どこからここまでのパワーが湧き出てくるのか!」と思わずにいられないプレイは、もちろん健在です。どこかのボードビリアンのような、ラメの入った紫色のシャツを着て、先に旅立ってしまった盟友ティト・プエンテやカコの形態模写も取り入れながら、力強く美しい音色を響かせます。後方中央では、ニューヨークでラテン・ビッグ・バンドを率いて久しい(ぼくは「ニューヨリカン・ポエツ・カフェ」で聴きました)、ボビー・サナーブリアがいちドラマーに徹して怒涛のようなビートを送り出しています。

「うわー、これは強力だ。誰の演奏を重点的に見ればいいのか迷ってしまう」と感じていると、ホーン・セクションから超絶的なハイノート・トランペットが聴こえて来ました。いまから10数年前、旧店舗の「ブルーノート東京」で、レスター・ボウイ・ブラス・ファンタジーの一員として出演したことがあるマック・ゴルホンではないですか。先日のエリック・ミヤシロとアルトゥーロ・サンドヴァルの共演に興奮した方なら、一発でマックのプレイを気に入ることでしょう。その横では重鎮ルイス・カーンがトロンボーンとヴァイオリンで存在感を発揮します。なにしろキャリアの初期にはモン・リベーラやスティーヴ・プリアムと並んでトロンボーンを吹いていたという筋金入りのベテランです。彼のプレイを間近でみることができる・・・・これはぼくにとって"眼福"という言葉に尽きます。ヴォーカルのエモ・ルチアーノとルイジート・ロサリオはただステージで歌うだけではなく、客席に入り込んで煽り、ときにはオーディエンスと一緒にダンスを踊りながらパフォーマンスを盛り上げました。

アンコールではさらに、ティト・プエンテに師事したことのあるウィリー・ナガサキ、そしてタモリがゲスト参加。ニッキーとウィリーのティンバーレス合戦、コンガをノリノリで叩くタモリに、場内の熱狂はさらに高まりました。公演は27日まで「ブルーノート東京」、28日は「コットンクラブ」で行なわれます。毎ステージが、ハプニングすることでしょう!
(原田 2014 1.26)


------------------
●LARRY HARLOW'S LATIN LEGENDS OF FANIA

featuring NICKY MARRERO
コットンクラブ公演
2014 1.28tue.
詳細はこちら

SET LIST

2014 1.25 SAT.
1st
1. SENOR SERENO
2. MANONO
3. AZUQUITA MAMI
4. MANUELA
5. QUITATE TU
6. QUITATE LA MASCARA
7. SILENCIO
8. LA CARTERA
 
2nd
1. ABRAN PASO
2. MANONO
3. LA CARTERA
4. LAS ESTRELLAS DE LA FANIA
5. CUANDO LLEGARE
6. LA RAZA LATINA

INDEX