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AVISHAI COHEN TRIO @Cotton Club

artist AVISHAI COHEN

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


チック・コリアが"天才"と認めたベース奏者、アヴィシャイ・コーエン。イスラエルが世界に誇る音楽家です。'90年代半ば、忽然とニューヨークに現われてセンセーションを巻き起こしてから約20年。現在は母国に活動の拠点を戻し、さらに雄大なスケールを持ったサウンド作りに取り組んでいます。明日からの「ブルーノート東京」公演に先立ち、ぼくは「コットンクラブ」で彼の演奏を聴きました。

ステージにはエレクトリック・ベースも置いてありましたが、初日のファースト・セットはすべてアコースティック・ベースで演奏されました。ピアノのニタイ・ハーシュコヴィッツは、アヴィシャイが2012年にリリースしたデュオ・アルバム『デュエンデ~聖霊』にも起用されていた逸材です。アヴィシャイのバンドにはかつてシャイ・マエストロが在籍していたこともありますが、クラシック音楽の要素を強く感じさせるシャイに対して、ニタイのプレイからは、よりグルーヴ感というか、ポップな印象を受けました。アヴィシャイも彼にはすっかり惚れ込んでいるようで、MCでは"ザ・グレイト"と紹介していました。ダニエル・ドーは、スティック、ブラッシュ、マレットを瞬時に持ち替え、静寂一歩手前の音から爆発するような連打までを見事にコントロールします。ソロも実にメロディアス、まさしく「ドラムで歌を歌っている」という形容がぴったりでした。

演目は、完成したばかりという「Interlude」や「Amethyst」、『デュエンデ~聖霊』からの「Soof」、ラテン・スタンダード「Besame Mucho」等。「Soof」が、ドラムスを加えたことによって別の曲のように生まれ変わったのにも驚きました。「Besame Mucho」は5拍子で演奏されましたが、「これは何拍子なのだろう」とわからなくなるほど、不思議なリズムを持ったナンバーもいくつかありました。しかしメンバーは実に楽しそうに体を揺らしながら演奏していて、聴いているこちらも、いつの間にか足でリズムをとってしまいます。何拍子なのかわからないのに、体が勝手に動き出すのです。そのくらい快いリズムが、アヴィシャイの音楽にはあります。

曲によってはベース・ソロもフィーチャーされましたが、音の粒立ちの美しさは「絶品」というしかありません。弓弾きの音色も豊かで、あらためてアヴィシャイのベース奏者としての技量に唸らされました。「楽器を鳴らしきっている」ことこそ、ぼくにとっては彼の最大の魅力です。公演は本日までコットンクラブ、23日と24日はブルーノート東京で行なわれます。
(原田 2014 1.22)

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