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DERRICK HODGE

artist DERRICK HODGE

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


いまや説明不要の人気ユニット、ロバート・グラスパー・エクスペリメント。昨年おこなわれた熱狂の来日公演も記憶に新しいところですね。彼らの次の来訪が待ちきれないというファンも多いことでしょう。そんなあなたにぜひお勧めしたいのが、いま開催されているデリック・ホッジのステージです。デリックはもちろん、エクスペリメントの超絶ベース奏者。しかも今回は、ドラムスのマーク・コーレンバーグも同行しています。つまりエクスペリメントの4分の2が、今、日本にいて、熱いライヴを繰り広げているというわけです。

グラスパーも参加した初ソロCD『リヴ・トゥデイ』からのナンバーが大半を占めていましたが、ポップかつコンパクトにまとめられたアルバム・ヴァージョンに比べ、より即興を重視したサウンドになっているところはライヴならでは。迫力と野性味を倍増させて、デリックら5人は壮絶な音の対話を繰り広げました。前半は激しめのナンバーを中心に攻めまくります。音響はとりわけ低音を強調しており、デリックのベースやマークのバスドラがこちらの内臓にズシンと響いてきます。デリックは4弦と5弦のエレクトリック・ベースを曲によって持ち替え、コード奏法、ハーモニクス奏法、タッピングなども用いながら図太いグルーヴを生み出します(それでいて、スラッピングを一度もしないのは興味深いところです)。

「この男はすごいよ。ホーン・セクションのパートをひとりでこなしてしまうんだから」とデリックに紹介されたのは、トランペット奏者キーヨン・ハロルドです。彼の生演奏が聴けるということも、ぼくが本公演を楽しみにしていた理由のひとつです。もう4、5年前だったと思いますが、ぼくはチャールズ・トリヴァー・ビッグ・バンドで彼のプレイを初めて聴きました。輝かしい音色、尽きないスタミナ、そして流れるようなフレーズに"ひと耳ぼれ"しました。そして今、目の前のキーヨンは当時よりもさらに自信にあふれ、すさまじい勢いでアドリブを続けていきます。最近のジャズ界は本当にトランペット奏者が充実しています。今度ロイ・ハーグローヴ・ビッグ・バンドで来日予定のジョシュ・エヴァンスとフレディ・ヘンドリックス、アヴィシャイ・コーエン(ベーシストとは別人)、類家心平と並んで、キーヨンはファイアとガッツを感じさせる当代最高の気鋭トランペッターのひとりであると、ぼくは信じてやみません。

公演は本日までブルーノート東京、12日には「コットンクラブ」に舞台を移して行なわれます。デリックは「終演後はサインもするし、ファンの皆さんと交流したいからどんどん話しかけてほしい」と言っていました。ミュージック・シーンの明日を開く俊英、デリック・ホッジのライヴをお見逃しなく!
(原田 2014 1.11)

SET LIST

2014 1.10 FRI.
1st
1. THE REAL
2. BORO MARCH
3. ANTHEM IN 7
4. STILL THE ONE
5. DANCES WITH ANCESTORS
6. HOLDING ONTO YOU
7. MESSAGE OF HOPE
8. SOLITUDE
 
2nd
1. THE REAL
2. BORO MARCH
3. ANTHEM IN 7
4. STILL THE ONE
5. DANCES WITH ANCESTORS
6. HOLDING ONTO YOU
7. MESSAGE OF HOPE
8. GRITTY FOLK

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