原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

先日のアルトゥーロ・サンドヴァルに続いて、本日も「ブルーノート東京」にはキューバの鬼才が登場しています。超絶ピアニストのゴンサロ・ルバルカバです。今回の公演は、彼が率いる最新ユニット"VOLCÁN"による日本お披露目ライヴでもあります。グループ名は"活火山"という意味でしょうか。文字通り、熱い音が聴こえてくるステージでした。

メンバーも凄腕ばかりです。フレットつきとフレットレスの6弦ベースをあやつる(ホセ・)アルマンド・ゴラは、キルギス出身のピアノ奏者＝エルダーのバンドで来日したことがあります。ゴンサロとは10年近く共演を続けており、ほかにもサンドヴァル、ジェニファー・ロペス、アレハンドロ・サンスのレコーディングやライヴにも参加しています。ドラムスのオラシオ・"エル・ネグロ"・エルナンデスは名プロデューサー、キップ・ハンラハンがこよなく愛する凄腕。渡辺香津美のトリオでは、リチャード・ボナと組んで驚愕のグルーヴを聴かせてくれました。以上ふたりはゴンサロと同じくキューバ生まれです。コンガとティンバレスのジョヴァンニ・イダルゴはプエルトリコ出身。エディ・パルミエリやミッキー・ハート（グレイトフル・デッド）との共演歴も持っています。アルバム『Hands Of Rhythm』では、ミシェル・カミロと火花の散るようなデュオを聴かせてくれました。

ステージでは、ゴンサロのレーベル"5PASSION"から発売された最新アルバム『VOLCÁN』に収められているナンバーが立て続けに演奏されました。オープニングから、何拍子なのかわからないほどのポリリズムが炸裂します。卓越したリズム感を持っている者だけがたどりつける境地。最初は「すごいなあ」と驚くばかりですが、やがてこれが気持ちよさに変わっていきます。ゴンサロはアコースティック・ピアノだけではなくキーボードも活用します。テクニシャン4人が生み出す大きな音のうねりが、客席を乗せに乗せます。

いつも通り、ゴンサロは最後にメンバー紹介をする以外、ステージ上で一切しゃべりません。ただひたすらプレイに打ち込むのみ、「ひと息つく」瞬間を与えません。しかしこれがたまらない緊張感を生み、聴き手にカタルシスを与えるのです。ゴンサロが日本に初めて来たのは確か1992年のことだったと思います。それ以来ぼくは、野外フェス、コンサート・ホール、クラブで数え切れないほど彼のライヴを見てきました。しかし今回の"VOLCÁN"ほど、スリルと気持ちよさが高いレベルで交差するゴンサロを体験したことはありません。

また、本公演の目玉はそれだけではありません。オープニング・アクトとして登場したのは、世界中のジャズ・フェスティバルでも大絶賛され、大きな注目を集めているアルパ（南米のハープ）奏者エドマール・カスタネーダ。オープニングのみの登場とはいえ、一人で演奏しているとは思えないサウンドとその素晴らしいテクニックには、誰もが圧倒されてしまうことでしょう。ハープのイメージを崩すとも言える、本当に信じられないプレイです。1月11日（土）に行われるcafe104.5でのイベント、また1月12日（日）のゴンサロとのデュオ公演でも、その実力を遺憾なく発揮してくれるに違いありません。鬼才、エドマールを見なければ損です！
(原田 2014 1.9）

●EDMAR CASTANEDA -plays and talks about his music-
1.11sat.　神田淡路町cafe104.5
Charge Free!!
［Open］6:00pm
［DJ Time］6:00pm-7:00pm, 8:00pm-9:00pm
［Talk Session & Mini Live］7:00pm-8:00pm
※空席状況はお電話でご確認下さい。TEL : 03-3251-1045

●EDMAR CASTANEDA & GONZALO RUBALCABA -DUO-
1.12sun.　BLUE NOTE TOKYO
[1st]Open3:45pm Start5:00pm　[2nd]Open7:00pm Start8:00pm