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TILL BRÖNNER @Nagoya Blue Note

artist TILL BRÖNNER

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


クリスマスの足音がそこまでやってきました。今年、「ブルーノート東京」でクリスマス・ライヴを行なうのは、ドイツ出身の人気者ティル・ブレナー。ワン&オンリーのトランペット/フリューゲルホーン/ヴォーカルが、2013年の聖夜を彩ります。

東京公演は本日から開催されますが、ぼくは20日、「名古屋ブルーノート」に先乗りして彼のパフォーマンスを楽しんできました。CDではどちらかというとソフトな要素を前面に押し出しているところもありますが、ライヴでのティルは曲によって猛烈に楽器をブロウし、尽きることのないアドリブを展開します。通常、フリューゲルホーンというと柔らかい、まろやかな音を出す楽器として認識されていると思います。しかしティルはメロウなトーンを出すと同時に、信じられないような高音や、驚くほど音の跳躍のあるフレーズを軽々とヒットするのですから驚かされます。「この楽器の魅力や可能性をすべて引き出すぞ」という声が聞こえてきそうなほど渾身のプレイなのです。とくに、敬愛する故フレディ・ハバードの代表曲である「Thermo」をプレイしているときのティルの吹きっぷり、そして表情は、"ジャズの鬼"と化していたといっても過言ではありません。思えばティルは、キャリアの初期にレイ・ブラウン(ジャズ史に輝くベースの巨星)と一緒にアルバムを作ったり、元ジェリー・マリガン・カルテットのジョン・アードレイにジャズ・トランペット奏法を師事していたこともあります。ジャズの血が騒いでいるときのティルは、実に「やばい」です。

共演メンバーはマグナス・リンドグレン(テナー・サックス、フルート)、ヤスパー・ソファーズ(ピアノ、フェンダー・ローズ)、クリスチャン・フォン・カプヘンクスト(アコースティック&エレクトリック・ベース)、デヴィッド・ヘインズ(ドラムス)という精鋭たち。今回が初来日というヘインズは右利き用のドラム・セットを使っているのに左手でトップ・シンバルを打つ変り種。バネの利いた、跳ねるようなビートでソリストを絶えず鼓舞していました。「Thermo」のことばかり書いてしまいましたが、ほかにもサンバ風のオリジナル、ファンク調にアレンジされたビリー・ジョエルの「Just The Way You Are」、ピアノとのデュオ「The Christmas Song」、ヴォーカルをフィーチャーした甘いバラード(タイトルはご来場いただいた皆さんへのお楽しみとさせていただきます)など、プログラムは多彩そのもの。思いっきり時間を忘れました。

シックでエレガントでありつつ、ファイアーとガッツもたっぷり。東京公演では、どんな盛りだくさんのステージで魅了してくれるでしょうか。
(原田 2013 12.22)

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