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THE ROOTS @TSUTAYA O-EAST

artist THE ROOTS

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ザ・ルーツ、渋谷に再降臨!
怒涛の人力グルーヴで繰り広げた熱狂のパーティー


 16年前、ザ・ルーツの初来日公演(97年5月)で東京会場となったのが渋谷の[ON AIR EAST]でした。今公演初日の会場[TSUTAYA O-EAST]の前身となるライヴハウスです。当時はヒップホップをバンド形態でやるザ・ルーツを異端視していた人も少なくありませんでしたが、そのあり方に懐疑的だった人たちも終演後には凄まじい人力パフォーマンスに打ちのめされ、放心状態になっていた光景をよく憶えています。以来たびたび来日公演を行ってきたザ・ルーツは、今や米の国民的TV番組の座付きバンドとしてお茶の間を賑わす存在に。多忙のため海外公演の数は減りましたが、そんな中、"ザ・レジェンダリー・ルーツ・クルー"は日本にやってきました。

 フロントアクトのDJ Mitsu the Beatsが超満員の会場を温めた後、ザ・ルーツがステージに登場。序盤、「The Next Movement」のイントロが流れると客席は一気にヒートアップしました。バンド・メンバーはこれまで何度か変わっていますが、絶妙なタイム感やダイナミクスでドラムスを操るクエストラヴ(今回の髪型はアフロヘアではなくコーンロウのようでした)と、よどみなく弾丸のようにラップを連射するMCのブラック・ソートは健在。クエストラヴはパーカッションのフランキー・ナックルズとともにインタープレイを披露しながらポリリズミックなグルーヴを奏でていきます。また、今やバンドの花形プレイヤーとなったギター&サイド・ヴォーカルのキャプテン・カーク、視覚的にも圧巻なスーザフォンで重低音を放つチューバ・グディングJr.、ベースのマーク・ケリーの3人はステージ前方で飛び跳ね、ステップを踏んで、パンク・バンドばりの激しさで客席を扇動。一方、「Mellow My Man」のような初期のジャジーな曲ではキーボードのレイ・アングリーがメロウな音色でバンドのクールな一面を表現しました。途中、Zeebraの飛び入りという東京公演ならではのサプライズに会場が沸いたことは言うまでもありません。

 ソウル、ファンク、ロック、ブルース、レゲエなどの名曲を即興的に織り込みながら展開していく底抜けに楽しいステージ。「The Seed(2.0)」からカーティス・メイフィールド「Move On Up」〜クール・G・ラップ「Men At Work」の定番カヴァーで大団円を迎えるまで、まるでザ・ルーツ・クルーが乗務する船に乗って音楽探訪の旅をしているかのようでした。21日は[ブルーノート東京]で一夜限りの公演。よりインティメイトな空間で興奮は最高潮に達するでしょう。


text : 林 剛
R&Bをメインとする音楽ライター。ザ・ルーツのライヴは、初来日公演以来、国内外でほぼ毎年鑑賞。〈Black Lily〉の頃からフィラデルフィアで取材を重ね、彼らのスタジオ訪問も。Okayplayerを愛しています。

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