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MARIA SCHNEIDER ORCHESTRA

artist MARIA SCHNEIDER , MARIA SCHNEIDER ORCHESTRA

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


圧倒的な感銘と余韻を残した初来日から、ちょうど1年。現在進行形のアンサンブル・ジャズを開拓するマリア・シュナイダー・オーケストラが、待ちに待った再来日公演を行なっています。

前回、美しいトランペット・プレイを聴かせてくれたローリー・フリンクは残念ながら亡くなってしまいましたが(マリアは「彼女がいないという事実に、まだ私は慣れていない」といいました)、グレッグ・ギズバート、マイケル・ロドリゲス、デイヴ・ピエトロ、リッチ・ペリー、スティーヴ・ウィルソン、スコット・ロビンソン、ドニー・マキャズリン、ラーゲ・ルンド、クラレンス・ペン等、「彼らが皆、日本に来ている今、ニューヨークのジャズ界はどうなっているのだろう?」と心配になるほどの豪華なメンバーが集結。ピアノやオルガンにも大変な才能を発揮するゲイリー・ヴァセイスをアコーディオンに専念させるとは、なんと贅沢なことでしょう。趣味のいい髪留めをしたマリアは、時に両手を広げながら、時に祈るように指揮をし、アドリブ・ソロが高まってくるとしゃがみながら笑顔でソリストに視線を送ります。1曲の中で、トランペット奏者は楽器にミュートをつけたりフリューゲルホーンに持ち替えたり、サックス奏者もフルートやクラリネットを吹くなど、持ち替えが頻繁に行なわれます。それがまた、サウンドに深い奥行きと、多彩な色合いを付け加えているのです。

今回も前回同様、セットによって大きく曲目が異なることでしょう。ぼくが見た初日のセカンド・セットは、「Dance You Monster To My Soft Song」など初期の楽曲に加え、まだCDになっていないというナンバーもたっぷり聴かせてくれました。ひとつは「Thompson Field」という、マリアの故郷ミネソタを題材にした大作。こうしたフォーク・タッチの曲をプレイすると、彼女のオーケストラはさらに魅力が膨らみます。連続して演奏された「Nimbus」(もしかしたら「Thompson Field」という組曲の一楽章なのかもしれません)ではスティーヴ・ウィルソンのアルト・サックスが大きくフィーチャーされました。クラレンス・ペンの強力なドラムに煽られ、身をのけぞらせながらブロウするウィルソンは実に頼もしく見えました。

プログラム後半では、バード・ウォッチングが趣味というマリアらしく"極楽鳥"をテーマにしたナンバーも演奏されました。マリア・シュナイダー・オーケストラ、今年もすごいです。昨年のライヴに足を運ばれた方も、初めてご覧になる方も、絶対に期待を裏切らない内容だと思います。公演は20日まで!
(原田 2013 12.18)

SET LIST

2013 12.17 TUE.
1st
1. CONCERT IN THE GARDEN
2. JOURNEY HOME
3. HOME
4. GUMBA BLUE
5. SKY BLUE
6. HANG GLIDING
7. WALKING BY FLASHLIGHT
 
2nd
1. LAST SEASON
2. DANCE YOU MONSTER TO MY SOFT SONG
3. THE THOMPSON FIELDS
4. NIMBUS
5. A POTTER'S SONG
6. ARBITERS OF EVOLUTION
7. MY IDEAL

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