原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

昨日から「ブルーノート東京」で飛び切りのファンキー・パーティーが開かれています。ナイル・ロジャース＆シックの登場です。

毎回、超満員のオーディエンスをダンサブルな世界に案内してくれる彼らですが、今回の気合いの入りようはまた特別です。ナイルとダフト・パンクが組んだ「Get Lucky」が世界各国で大ヒットを続けていることも影響しているのでしょう、ファン層も多彩です。「ナイルの曲ならなんでも知っているぞ」的熱心なファンに加え、ダフト・パンクを経由してナイルのことを知ったであろう若いリスナーの姿も目立ちます。

メンバーがステージに上る前から、演奏は始まっています。ホーン・セクションはそれぞれの楽器を吹きながら、他の楽器奏者はパーカッションを手にしながら楽屋から登場するのです。この時点で客席の７割は立ち上がっています。「Hangin'」、「Everybody Dance」、「Dance,Dance,Dance」とファン待望のレパートリーが出し惜しみなく繰り広げられます。「カモン！レッツ・パーティー！」というナイルの煽りも絶好調です。

続いては「I'm Coming Out」や「Notorious」など、ナイルが他のアーティストに提供したナンバー集。「I'm～」ではキム・デイヴィス・ジョーンズがリード・ヴォーカルをとりますが、ダイアナ・ロスのオリジナル・ヴァージョンそっくりに歌うことなく、彼女自身の表現で名曲を蘇らせていたのには好感が持てました。デヴィッド・ボウイに提供した「Let's Dance」は、例によってドラマーのラルフ・ロールの"叩き語り"です。いつもニコニコしていて、曲紹介ではナイルと漫才のようなやりとりを繰り広げるラルフのファンは、ライヴごとに増えているような気がします。

その後は「Le Freak」、「Good Times」と必殺ナンバーが続きます。ナイルは女性客を次々とステージにあげて踊らせ、「スタジオ５４（※77年から80年代初頭にかけて栄華を誇ったニューヨークのディスコ）を思い出すよ」と言いながら強力なギター・プレイを聴かせました。そして、鳴り止まない拍手の中、ラストに流れたのは「Get Lucky」。メンバーが楽屋に戻った後もナイルはひとりステージに残り、この曲にあわせて歌ったり、総立ちの客席を撮影するなど、乗りに乗っていました。
(原田 2013 11.8）