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BOOKER T. JONES introducing KORI WITHERS

artist BOOKER T.

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ブッカー・T・ジョーンズは多面体です。1960年代にメンフィス・ソウルの重鎮として超ファンキーなオルガンを弾いていたかと思えば、70年代には西海岸に転居してフォークやAOR的なサウンドにも取り組みました。80年代にはシンセサイザーも手がけていましたし、グラミー賞に輝いた近作『ポテト・ホール』、及び伝説の名門レーベル、スタックスへの復帰作であるニュー・アルバム『サウンド・ジ・アラーム』などは、彼の音楽がまた新たな局面に差しかかったことを伝えてくれます。それはひとことでいえば、なんでもあり。ブルース、ファンク、ゴスペル、R&B、ロック、ジャズ等をすべて包み込んだ、音楽の達人ブッカー・Tならではの懐の広い世界が繰り広げられているのです。

昨日から始まった来日公演でもブッカー・Tの様々な一面を聴くことができました。なにしろ16歳でレコーディング・スタジオに入っていたという天才肌です。出世作「Green Onions」のリリースからも半世紀が経っています。「来月で69歳になるんだよ」とMCで語っていましたが、音楽にかける意欲、オルガン・プレイにかける情熱は留まることを知らないようです。往年のR&B仲間との再会セッションのオファー等も殺到しているのではないかと、ぼくは想像しているのですが、今の彼にとって何よりも大切なことは、気鋭ばかりで構成された現ユニットによる"今の自分の音楽"なのでしょう。もちろんライヴでは旧作もたっぷりプレイしてくれますが、決して"60年代のレプリカ"ではなく"現在の感覚による新解釈"であるところに、ぼくはブッカー・Tの誠実さを感じました。卓越したオルガン・プレイの陰に隠れがちですが、味わい深いヴォーカル、指弾きによる切れ味鋭いギターにも彼の才能はしっかり発揮されています。

プログラム後半では、『サウンド・ジ・アラーム』に参加していたシンガーのコリ・ウィザースも登場しました。「Ain't No Sunshine」、「Lean On Me」などのヒットを放ち、ジャズやフュージョンのファンにはクルセイダーズやグローヴァー・ワシントンJr.との共演でも知られるシンガー・ソングライター、ビル・ウィザースの愛娘です。ブッカー・Tはビルのプロデューサーを務めたこともあるので、親子二代のつきあいということになりますね。コリはとても背が高く、現われただけでステージに華やかさが加わります。父親の書いた「Ain't No Sunshine」の歌詞を女性用に変えて歌い、ノラ・ジョーンズのヒット「Don't Know Why」もカヴァーしてくれました。現役を退いたと伝えられる(新作アルバムも30年近く出ていない)ビルですが、いつかコリとの親子共演を聴いてみたい、とぼくは強く思いました。
(原田 2013 10.29)

SET LIST

2013 10.28 MON.
1st
1. HANG 'EM HIGH
2. HIP HUG-HER
3. BORN UNDER A BAD SIGN
4. GREEN ONIONS
5. SOUL LIMBO
6. 66 IMPALA
7. AIN'T NO SUNSHINE
8. PUT YOUR RECORDS ON
9. DON'T KNOW WHY
10. WATCH YOU SLEEPING
11. TIME IS TIGHT
12. HEY YA
13. I'VE BEEN LOVING YOU TOO LONG
14. JAMAICA SONG
 
2nd
1. HARLEM HOUSE
2. FUN
3. SOUL LIMBO
4. HEY JOE
5. TAKE ME TO THE RIVER
6. GREEN ONIONS
7. AIN'T NO SUNSHINE
8. PUT YOUR RECORDS ON
9. DON'T KNOW WHY
10. WATCH YOU SLEEPING
11. POTATO HOLE
12. TIME IS TIGHT
13. JAMAICA SONG

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