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JOHN SCOFIELD "Uberjam"

artist JOHN SCOFIELD

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ジョン・スコフィールド率いる"ウーバージャム・バンド"が、長い冬眠から覚めました。先ほど10数年ぶりのニュー・アルバム『ウーバージャム・ドゥ』を発表したと思ったら、今度は待望の来日公演が実現。本当にエキサイティングな気分にさせてくれます。

『ウーバージャム』がリリースされた2002年当時、ぼくは音楽雑誌に勤めていました。「これはすごい作品だ」と、大きくスペースをとって絶賛したことを覚えています。その直後に「ブルーノート東京」で行なわれた来日ステージにも一目散でかけつけ、2ページのスペシャル・ライヴ・レポートを掲載しました(通常のライヴ・レポートは1ページでしたが、編集長権限で増頁したのです)。ジョンはウーバージャム・バンド結成までに、デニス・チェンバースを加えたフュージョン系ユニット、スティーヴ・スワロウらとのジャズ系トリオ、ジョー・ロヴァーノとのカルテットなど、様々な編成で多彩な音作りを繰り広げてきました。しかしぼくにとっては、このウーバージャム・バンドこそ別格です。これは今、彼らが来日中だから大げさに言っている、というわけではありません。ベンチャーズや寺内タケシがギター・ミュージックの原体験である自分は、複数のエレクトリック・ギターが絡むインストゥルメンタルを聴くと血が騒ぐのです。しかもその絡みが、ジョン・スコフィールドとアヴィ・ボートニックの間で行なわれるのですから、これは本当にハイレベル、ハイテンションな技の応酬が満喫できるというわけです。

今から約10年前、「ブルーノート東京」に初めて登場したときのウーバージャム・バンドは、ジョンがリード・ギター、アヴィがサイド・ギターという役割が比較的明確だった記憶があります。しかし今回、アヴィはガンガンとジョンを挑発します。ときにファンキーなギター・カッティングで、ときにサンプラーを用いたアグレッシヴな響きで、ジョンのプレイを刺激に刺激します。もちろんソロも鮮やかでした。そしてジョンも様々なエフェクターを使いながら、人工ハーモニクスやチョーキングをも取り入れたアドリブで会場を沸かせます。曲によってはリゾネイター・ギターのような音色まで出していましたが、指弾きとピック弾きの巧みな使い分けも含めて、ジョンのアプローチは「ギターの魅力と可能性を知り尽くしている者ならではの巧み技」という言葉に尽きます。

曲目は最新作と、『ウーバージャム』からのものがほぼ半分ずつ。『ウーバージャム』でアダム・ダイチが叩いていたパートが、今回はルイス・ケイトーのドラムで聴けるというのもライヴの魅力のひとつです。アダムの鋭く、直線的なプレイに対し、ルイスはより太く、うねりのあるサウンドが特徴。ジョンはいついかなるときも、素晴らしいドラマーをバンドに加えています。しかもルイスはシンガーとしても超一級。彼のドラム叩き語り、そしてツイン・ギターがハモるリフをフィーチャーした「I Don't Need No Doctor」は、極上のサザン・ロックでした。
(原田 2013 10.20)

SET LIST

2013 10.20 SUN.
1st
1. SNAKE DANCE
2. CRACKED ICE
3. BOOGIE STUPID
4. JUNGLE FICTION
5. AL GREEN SONG
6. I BRAKE 4 MONSTER BOOTY
7. DUB DUB
8. I DON'T NEED NO DOCTOR
 
2nd
1. CAMELUS
2. SNAP CRACKLE POP
3. IDEOFUNK
4. CURTIS KNEW
5. TOMORROW LAND
6. LADIES NIGHT
7. THIKITHALI
8. ENDLESS SUMMER
9. I DON'T NEED NO DOCTOR

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