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ROBERT GLASPER EXPERIMENT 
with special guest YASIIN BEY f.k.a. MOS DEF

artist ROBERT GLASPER

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


現代ミュージック・シーンの台風の目といっていいでしょう、ロバート・グラスパー・エクスペリメントの公演が昨日から始まっています。「コットンクラブ」には出演したことがありますが、「ブルーノート東京」へは今回が初登場。もちろん立錐の余地もないほどの大入り満員で、おそらくはグラスパーと同年代であろうファンの姿も目立ちます。

ぼくは10年ほど前、ニューヨークのジャズ・クラブでグラスパーを初めて見ています。それほど多くない観客の前で、一心不乱にアコースティック・ピアノを弾いていました。当時の彼に、「あなたは今にブルーノート・レコードと契約しますよ。グラミー賞をとりますよ。カリスマ的な存在になりますよ」と伝えたら、「そんな夢のようなこと、あるわけないじゃないか」といわれたかもしれません。しかし今、グラスパーは、まさしく音楽によるアメリカン・ドリームを実現するさなかにあります。

エクスペリメントのメンバーは、デリック・ホッジ(ベース)、ケイシー・ベンジャミン(アルト・サックス、ヴォコーダー)、マーク・コレンバーグ(ドラムス)。ぼくはこのバンドの公演にできる限り足を運ぶようにしていますが、ケイシーの歌いっぷりはさらに大胆で奔放になり、マークのドラムスも前任者クリス・デイヴの後を補って余りある超絶プレイで興奮させてくれます。グラスパーはステージ上手(かみて)に陣取り、アコースティック・ピアノとフェンダー・ローズで鬼才ぶりを発揮します。

曲間の切れ目がないまま、ひとまず演奏は1時間以上続きました。途中から、盟友ヤシーン・ベイ(2011年にモス・デフから改名)が登場します。彼は、グラスパーのヒット作品『ブラック・レディオ』にも参加していましたが、この黄金コンビがナマで、目の前で聴けるのは本当に嬉しいことです。途中、伝説のサックス奏者エリック・ドルフィーが遺した「245」のメロディをヤシーンとケイシーがユニゾンで表現するという場面もありました。一度、演奏が小休止したあと、再び白熱のセッションが始まり、計90分、ぼくは"今を生きる音楽家たち"のマジックに酔わされたのでした。公演は16日まで続きます。
(原田 2013 9.15)

SET LIST

2013 9.14 SAT.
1st
1. FESTIVAL
2. LOVELY DAY
3. LIFT OFF
4. BLACK RADIO
5. STAKES IS HIGH
6. UMI SAYS
 
2nd
1. PACKT LIKE SARDINES IN A CRUSHD TIN BOX
2. CHERISH THE DAY
3. GET LUCKY
4. BLACK RADIO
5. SERENE
6. BEDSTUY PARADE & FUNERAL MARCH
7. MEAT GRINDER
8. STAKES IS HIGH

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