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MIKE STERN BAND 
featuring MAKOTO OZONE, DAVE WECKL & TOM KENNEDY

artist MIKE STERN , 小曽根真

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


説明不要の人気者が、ふたたび一緒に組んでくれました。

ギターのマイク・スターンと、ピアノ/オルガンの小曽根真です。ふたりは2007年にもセッションを行なったこともあります。ふだんバンドに鍵盤類を入れないマイクが、小曽根の多彩なサポートを受けて、自由奔放に弾きまくっていた姿が印象に残っています。それから6年、ふたりの結びつきはさらに強固なものとなり、まるで双頭ユニットを聴くような気持ちで、ぼくは昨日のライヴを楽しみました。

1曲目はアルバム『Big Neighborhood』に入っていた「Coupe De Ville」。テーマ・メロディの部分こそ"マイク・スターン節"ですが、コードの部分は古いスタンダード・ナンバー「There Is No Greater Love」が下敷きになっているようです。マイクは例によって両膝を交互に揺らして軽くステップを踏むように、ギターをゆるやかに上下に振りながらプレイを続けます。この曲では小曽根(ピアノ)だけではなく、ベースのトム・ケネディ、ドラムスのデイヴ・ウェックルも存分にソロを聴かせてくれました。

次は、近年のマイクのライヴには欠かせない、ミディアム・テンポのナンバー「KT」。最初は音数を選ぶように始まり、やがて少しずつ音数と音量を増やしながらクライマックスに持っていく小曽根のオルガンが圧巻でした。他のプロジェクトではあまり聴くことのできない小曽根のオルガンを満喫できるのも、このセッションの魅力です。ぼくは父・小曽根実のオルガン・アルバムを持っていますが、タッチの歯切れよさ、明快なフレーズづくりには、本当に共通するものがあると思いました。「Tipitinas」ではマイクが小曽根のオルガンと向かい合い、まるで会話するようにソロの掛け合いを繰り広げました。「このバンド、もうレギュラー活動しちゃえばいいのに」と思ったのは、ぼくだけではないはずです。

「Wing And A Prayer」は'90年代からのレパートリーですが、今回、マイクはリチャード・ボナばりのファルセットでギターとのユニゾンを披露しました。ぼくが彼の歌をライヴで聴いたのはこれが初めてです。ラストの「Blues For Al」の中でも、ジャコ・パストリアスがよく歌った「Fannie Mae」をワン・コーラス歌っていましたし、マイクの中には今、"歌"への思いが強くなっているのかもしれません。

ライヴは土曜日まで続きます。5日間、10公演。マイクと小曽根のコンビネーションが、さらにさらに深まっていくこと間違いなしです。
(原田 2013 8.28)

SET LIST

2013 8.27 TUE.
1st
1. OUT OF THE BLUE
2. AVENUE B
3. WISHING WELL
4. WHAT MIGHT HAVE BEEN
5. CHATTER
6. BIG NEIGHBORHOOD
 
2nd
1. COUP DE VILLE
2. KT
3. THAT'S ALL IT IS
4. WING AND A PRAYER
5. TIPATINA'S
6. BLUES FOR AL

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