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AKIKO YANO TRIO 
featuring WILL LEE & CHRIS PARKER

artist 矢野顕子

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


「今年も、この時期になったか」と、時の流れの速さに改めて驚いてしまいます。

ブルーノート東京の夏の風物詩である矢野顕子公演が、昨日からスタートしました。もちろんウィル・リー、クリス・パーカーとの"最強トリオ"による登場です。音楽の楽しさを知り尽くした3人のステージは、いつ接しても新鮮で、聴く者を徹底的に楽しませてくれます。

冒頭の「BAKABON」は、ブルーノート公演でもよくプレイされる曲で、ぼくも何度か聴いたことがありますが、この日の解釈はいつになく激しく、さらに自由奔放です。矢野顕子のピアノ・プレイは「鍵盤が足りなくなるのではないか」と思えるほど大胆に楽想を拡げ、スキャットのフレーズはまったく予想がつきません。スキャットだからといって、別に「シャバダバ」である必要はないのです。ぼくは形にはまったスキャットよりも、矢野顕子のそれに、よほど濃い即興のスリルを感じます。

ステージではもちろん、新曲も聴かせてくれました。この8月7日に発売されたシングル「リラックマのわたし」と、そのカップリング曲のひとつである「海のものでも、山のものでも」です。かっこいいパフォーマンスを見事にキメる一方で、ゆるキャラ界のトップに立つリラックマ関連の歌もガッチリこなしてしまう3人は、まさに音楽の達人です。

この日のプログラムはほかにも、ウィルの最新アルバム『ラヴ・グラティテュード&アザー・ディストラクションズ』に入っている「1,2,3」('60年代にレン・バリーがヒットさせたナンバー)をウィルと矢野のツイン・ヴォーカルで聴かせたり、「在広東少年」や「ごはんができたよ」といった'70年代後半~'80年代前半の人気レパートリーの驚きの再演があったり、と、本当に多彩で嬉しいものでした。ピアノの椅子から離れ、ベースとドラムだけの伴奏でワン・コーラスを歌った「With You In Mind」(アラン・トゥーサンのカヴァー)における、矢野顕子のリズム感のよさ、音感の鋭さにも改めて感服させされました。公演は13日まで続きます(11日はオフ)。ジャンルではなく音楽そのものを愛するファンなら、絶対にかけつけるべきステージです!
(原田 2013 8.10)

SET LIST

2013 8.9 FRI.
1st & 2nd
1. BAKABON
2. 学べよ
3. 海のものでも、山のものでも
4. WITH YOU IN MY MIND
5. 1.2.3
6. リラックマのわたし
7. 変わるし
8. 在広東少年
9. ごはんができたよ
10. AIN'T NO MOUNTAIN HIGH ENOUGH

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