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CANDY DULFER

artist CANDY DULFER

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


今、ブルーノート東京では、パーティが賑やかに繰り広げられています。サックス奏者、ヴォーカリスト、そして極上のエンターテイナーであるキャンディ・ダルファーの登場です。

バンド・メンバーにもキャンディの片腕といえるウルコ・ベッド(ギター)、ファンク・ビートの達人ヨースト・クローン(ドラムス)、話題のバンド"ザ・ジャズインヴェーダーズ"のメンバーでもあるヤン・ファン・ダウケレン(トランペット)などの凄腕が並びます。以前よく参加して楽しいキーボードとR&B色の濃いヴォーカルで沸かせたチャンス・ハワードの姿はありませんが、今回はリカルド・ファット・バルグルストとアンディ・ニンヴァレのツイン・ヴォーカル/ラップが大きくフィーチャーされています。よりヒップホップ的な要素が強まった現在のキャンディー・ダルファー・バンドもまた、飛び切りファンキーでダンサブルです。

メンバーがステージで演奏を始めた後、サックスを吹きながらキャンディが登場します。ディスコ風の「Happiness」が始まると超満員の観客から一気に大きな声援と拍手が巻き起こります。「一緒に歌ってください」という呼びかけで始まった「Hey Now」は、一度聴いたらすぐ歌いたくなるようなシンプルなリフレインが印象的です。前半はレゲエ調、後半はハード・ロック調という不思議な構成の曲を、キャンディは猛烈に吹きまくります。

すごい熱気です。クラブの温度がどんどん上昇していくのがわかります。やがて、キャンディのMCが始まりました。「このへんで少しクールダウンしましょう。みなさん、どうぞ座ってくださいね。私が18歳のとき、ユーリズミックスのデイヴ・スチュアートに書いてもらった曲です」。なつかしい「Lily Was Here」が、しっとりとプレイされました。当時より格段に表現力を増したキャンディのサックスと、ウルコの"泣き"のギター。二人のコンビネーションには、どこまで磨きがかかり続けるのでしょう。

「Bass In Ur Face」ではアンディ・ニンヴァレのヴォイスが大活躍しました。これはもう、実際に見て聴いていただくしかないでしょう。「ターンテーブルで再生されるアナログ・レコードの音」が、ここまで人の声で表現できるなんて! と、ぼくは驚くしかありませんでした。いったいどんな声域、どんな舌を持っているのでしょうか。彼の声によるリズムの音(ヒューマン・ビートボックス)に、リカルド・ファット・バルグルストのラップが絡む箇所も絶品でした。

そして本編ラストは、アヴェレージ・ホワイト・バンドの大定番である「Pick Up The Pieces」。キャンディのライヴでも欠かせない人気曲ですが、「今回は2013年ヴァージョンでお送りするわ」というMC通り、従来の「Pick Up~」とは異なる、新鮮そのもののアレンジでプレイされました。"ピッカプ・ザ・ピーシーズ、ピーシ~~ズ"と歌の語尾をふるわせるあたり、ひょっとしたらキャンディの敬愛するトロンボーン奏者フレッド・ウェスリーが「House Party」という曲を歌うときの"ゴナハヴァハウスパーディー、ハウスパ~ディ~イ~~"というリフレインからアイディアをもらったのかも、とも、ぼくはひとり考えました。

キャンディ=ファンキー&ダンサブルというイメージはそのままに、クラブ・ミュージックの要素やプログラミングも導入したサウンドで楽しませてくれる今回の公演。以前からのファン、最近彼女を知ったファンの両方を最高レベルで満足させてくれることでしょう。
(原田 2013 4.13)

SET LIST

2013 4.13 SAT.
1st
1. INTRO / HAPINESS
2. HEY NOW
3. CRAZY
4. WHAT U DO WITH THE MUSIC
5. LILY WAS HERE
6. YOU ARE THE ONE
7. BASS IN UR PACE
8. REACH FOR IT
9. PICK UP THE PIECES
10. FULL MOON
2nd
1. INTRO / HAPINESS
2. HEY NOW
3. CRAZY
4. WHAT U DO WITH THE MUSIC
5. LILY WAS HERE
6. YOU ARE THE ONE
7. BASS IN UR PACE
8. FULL MOON
9. PICK UP THE PIECES
10. GOOD MUSIC

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