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JOHN SCOFIELD TRIO featuring STEVE SWALLOW & BILL STEWART

artist JOHN SCOFIELD

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
 
 

ジョン・スコフィールドといえば「ライヴの達人」。そんな印象が、個人的にあります。初期の大傑作である『ライヴ』('77年)に始まり、『シノーラ』、『アウト・ライク・ア・ライト』(以上'81年)、『ピック・ヒッツ』('87年)、比較的最近では『アンルート』(2003年)などなど、熱心なオーディエンスを前にしたジョンのプレイは格別です。しかも今回の公演は、重鎮スティーヴ・スワロー(ベース)、今やすっかりベテランの仲間入りを果たした名手ビル・スチュアート(ドラムス)とのトリオ。つまり『アンルート』と同じメンバーによるセッションなのですから、期待は高まるばかりです。

オープニングは「HOW DEEP」。ビル・エヴァンス他も演奏したスタンダード・ナンバー「HOW DEEP IS THE OCEAN」のコード進行に沿ったナンバーです。あらゆるジャズメ ンに掘りつくされてきたといっても過言ではない素材ですが、そこに新鮮味を加えるのはジョンの得意とするところ。ちょっと濁った音、粘っこいフレーズで、彼以外の誰にも真似のできない世界をつくりあげてしまいます。愛器をピックで淡々と弾くスティーヴ、シンプルなドラム・セットから驚くほどカラフルな音を出すビル、皆がこのトリオでの演奏を心から楽しんでいることが伝わってきます。

3人はまた、チャーリー・パーカー作「CONFIRMATION」、やはりスタンダード・ナンバーである「YOU'VE CHANGED」といった古典も演奏しました。後者をとりあげたのは、「ビ リー・ホリデイの歌う同曲に感銘を受けたから」とのことですが、ジョンは決して過去のジャズ・ギタリストのようにプレイしません。ループを巧みに活用しながら、なんとも深みのある、そしてとことん新鮮なバラードを楽しませてくれました。

女流ピアニスト/作曲家のカーラ・ブレイが書いた「LAWNS」は近作『ア・モーメンツ・ピース』でも演奏されていましたが、このトリオの手にかかると、楽想がさらに拡がります。ちなみにスティーヴはカーラの伴侶でもあります。そのためかここでは彼の美しいベース・プレイが大きくフィーチャーされました。近年のスティーヴはCitron AE5という楽器を使っていますが、「エレクトリックとアコースティックの究極の融合を目指した」といわれるサウンドはジョンのギターと融合し、信じられないほど絶妙な音のブレンドを生み出していました。

公演は13日まで行なわれます。どうやらレパートリーは各セット、大いに異なるようです(初日セカンド・セットでは、あの「EIDERDOWN」も演奏されたとか)。世界トップのギター・トリオを、ぜひライヴでご堪能ください!
(原田 2012 10.10)

SET LIST

2012 10.10 tue.
1st
1. HOW DEEP
2. SEASON CREEP
3. CHICKEN DOGChicken Dog - A Go Go
4. LAWNSLawns - A Moment's Peace
5. CONFIRMATION
6. TWANGTwang - Steady Groovin' - The Blue Note Groove Sides
7. YOU'VE CHANGED
8. CHAP DANCE
9. JUST A GIRL I USED TO KNOW
   
2nd
1. FINAL BLUES
2. EVERYTHING I LOVE
3. GREEN TEAGreen Tea - A Go Go
4. EIDERDOWN
5. SOMEONE TO WATCH OVER MESomeone to Watch Over Me - A Moment's Peace
6. LOST AND FOUND AND IN BETWEEN
7. MUSEUM
8. OVER BIG TOPOver Big Top - En Route
9. HITTIN' THE JUG

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