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SADAO WATANABE "INTO TOMORROW"

artist SADAO WATANABE

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SADAO WATANABE-渡辺貞夫 


公演初日リポート:渡辺貞夫 "INTO TOMORROW"



渡辺貞夫にとって6年ぶりのスタジオ録音、そして通算70枚目のリーダー・アルバムとなる『イントゥ・トゥモロー』。そのリリースを記念して、昨日9月2日(CDの発売日です)から5日まで、飛び切り充実したライヴが繰り広げられています。

共演メンバーはCDと同じく、ジェラルド・クレイトン(ピアノ)、ベン・ウィリアムス(ベース)、ジョナサン・ブレイク(ドラムス)。いずれもジャズ・シーンで注目を集めている新世代です。思えば渡辺貞夫は常に若手ミュージシャンとの共演で前進し続けてきました。海外の演奏家に限っても、70年代にはリー・リトナー、80年代にはバーナード・ライトやチャーネット・モフェット、90年代にはニコラス・ペイトンやサイラス・チェスナット等、つねに“次代の逸材”を迎えながら、その時代時代の“ナベサダ・ミュージック”をクリエイトしてきました。

ステージに登場した4人は、ちょっと見た感じ“先生と生徒たち”です。しかし演奏が始まると一転、まだあどけなさを残すメンバーたちの表情がキュッと引き締まり、文字通り一丸となって渡辺貞夫を鼓舞します。そこにぼくは、彼らの“ボス”に対する尊敬の念を感じました。

いつものアコースティック・ジャズ・ライヴなら演奏されるであろうチャーリー・パーカーゆかりの楽曲も登場せず、いわゆるスタンダード・ナンバーはアンコールで演奏された「YOU BETTER GO NOW」のみ。しかしこれも、カーメン・マクレエやジェリ・サザン等、シンガーに愛されているバラードであり、インストゥルメンタルではとりあげられる機会は殆どありません(ぼくもライヴで初めて聴きました)。他には盟友チャーリー・マリアーノ(惜しくも、この6月に亡くなりました)のオリジナル曲も演奏されましたが、基本レパートリーはあくまで『イントゥ・トゥモロー』からのもの。この最新作の世界を、徹底的に生で味わわせてくれました。超アップ・テンポによる「STUDY IN PIT INN」の力強さ、そして繊細このうえない「IF I COULD」「TIMES AGO」のバラード2連発。客席から熱狂的な拍手、かけ声、そして深いため息が沸き起こりました。

終演後、1FクロークにあるCD売り場には人だかりができていました。列に並んだファンが口々に「良かったね」「楽しかった」と感想を語り合いながら、発売されたばかりの『イントゥ・トゥモロー』を買い求める光景は、他のどのアーティストのライヴでも見たことのないものでした。この日、このステージを味わった誰もが、渡辺貞夫の音楽から強力なエネルギーをもらったことでしょう。
(原田 2009/9/2)


● SADAO WATANABE " INTO TOMORROW"
9/2 - 5
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