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report- : HELEN MERRILL

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原田和典の公演初日リポート:HELEN MERRILL


ヘレン・メリルについてのキーワードは、いくつもあります。

ひとつは、とにかく長く豊富なキャリアを積んだアーティストであること。クリフォード・ブラウン(トランペット)、ビル・エヴァンス(ピアノ)、ギル・エヴァンス(アレンジ)、スタン・ゲッツ(テナー・サックス)、ジョン・ルイス(ピアノ)など、数々の伝説的ジャズ・ミュージシャンと歴史に残るレコーディングを行なったシンガーは、ヘレンしかいません。

もうひとつは、大の親日家であること。60年代後半から70年代前半にかけては、日本に住んでいたこともありました。ヘレンと我が国のファンは相思相愛なのです。

さらにもうひとつは、とにかくレパートリーの幅が広いこと。フォーク・ソング、映画主題歌、ポップス、日本の歌謡曲もすべて彼女の色に染めてしまいます。近年のアルバム『ライラック・ワイン』では、“レディオヘッド”の「ユー」も歌っていましたね。

そのヘレンが、久しぶりにクラブに戻ってきてくれました。バック・メンバーはテッド・ローゼンタール(ピアノ)、ショーン・スミス(ベース)、エリオット・ジグムンド(ドラムス)。エリオットはピアニストのビル・エヴァンスのバンドで活躍したことのある左利きの名手です。ぼくはエヴァンスの作品の中でも『ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング』が、ことのほか好きなのですが、そこで泣けてくるほど素晴らしいブラッシュ・ワークを聴かせていたエリオットを間近で見ることができて、なんだか感無量です。

この日のヘレンは、スタンダード・ナンバーを中心に選曲していました。スキャットはしませんが、メロディは自在に変化し、歌詞もところどころ変わります。ああ、ジャズ・シンガーだなあ、と思いました。

とくに「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」が圧巻でした。ぼくなど妙にスレてしまったところがあり、“マイファニー”ときくだけでもうこの曲は耳タコだよ、といいたくなるところもあるのですが、ヘレンの解釈にはハッとさせられました。普通なら“Stay little Valentine stay、Each day is Valentine's day”と来るところを、“Stay funny Valentine stay、I love you more and more”と歌い、しかも最後の“more”で声のトーンをグッと落とすと同時に、テッドがこの世でこれ以上悲しいものはないと思えてくるような短調の和音をぶつけてくるのです。「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」はちょっと風変わりな歌詞を持つラヴ・ソングなのですが、ヘレンとテッドの解釈はまるで、この恋は成就することがないのだ、永遠に続く恋など果たしてあるのだろうか、と暗示しているかのように感じられました。
「ワイルド・イズ・ザ・ウィンド」も良かったし、「ボーン・トゥ・ビー・ブルー」も深かったし、と、ほかにも書くところはいっぱいあるのですが、続きはぜひ、皆さんに実際のステージを体験していただければと思います。

なお、ヘレンについては、2006年に発売されたCD『ヘレン・メリル・ウィズ・ゲイリー・ピーコック・トリオ スポージン』、『ヘレン・シングス,テディ・スウィングス』、『ヘレン・メリル・シングス・ビートルズ』のライナーノーツの中でも書かせて頂いておりますので、そちらもご覧くださいませ・・・。
(原田 2009/5/26)


5/26 tue - 29 fri
HELEN MERRILL
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