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JANE MONHEIT

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- 原田和典の公演初日リポート:JANE MONHEIT



うまいなあ!
ジェーン・モンハイトのステージに接しながら、ぼくは何度も声をあげそうになりました。

マイクを離れても会場に響き渡る“通る声”、オーディエンスに語りかけるようなMC、ほどほど加減が心地よいフェイク&スキャット、緩急自在の選曲。声域は、ひょっとしたら4〜5オクターヴはあるかもしれません。しかし彼女が使うのは1オクターヴから1オクターヴ半ぐらいです。だから歌に余裕があります。包容力があります。技巧をちらつかせることは、しません。いちばん美しく響く声のレンジを選んで、ジェーンは聴き手に歌を届けます。

かつて彼女がセロニアス・モンク・ジャズ・コンペティション(全米でもっとも権威のあるジャズ・コンテスト)を勝ち抜き、ファースト・アルバムを発表した頃、ぼくは雑誌の編集に携わっていました。とても楽しみな新人が出てきたものだと思い、記事を組んだ記憶があります。が、いまやジェーンは、こちらの予想を軽々と超え、ジャズ・ヴォーカル界になくてはならない存在になりました。変わらぬみずみずしさのまま、すっかり貫禄と風格を増した彼女は、1曲ごとに歌の主人公になって歌詞の世界を届けてくれます。

「BY MYSELF」、「LUCKY TO BE ME」、「MY ONE AND ONLY」など、いつしか余り取り上げられなくなってしまったスタンダード・ナンバーをじっくり聴かせてくれたのも個人的には嬉しいものでした。とくに「MY ONE AND ONLY」には、“よく取りあげてくれました!”といいたい気分です。ガイ・ウッドが作曲した「MY ONE AND ONLY LOVE」なら何度もいろんなミュージシャンのステージで聴いたことがあります。でもジョージ・ガーシュインが作曲した「MY ONE AND ONLY」は、ぼくもこれまで千本以上のライヴを見ていますが、生で味わったのは今夜が初めてです。加えて「STARDUST」、「OVER THE RAINBOW」といった超有名曲も聴かせてくれました。どちらも、数々の偉大なシンガーが名唱を残している大定番です。客席にいた誰もが知っているメロディをジェーンは真正面から伸びやかに歌い上げます。“うまいなあ!”とぼくは、またしても叫びたくなりました。

伴奏のミュージシャンが、また魅力的なのです。ピアニストのマイケル・ケイナンはジミー・スコットのバンドで何度も来日していますが、いつ聴いても趣味のいいバッキングをします。ヴォーカルのブレス(息継ぎ)の間に入れる合いの手が絶妙なのです。余談ですが、彼は自分のアルバムも出していて、これもなかなか良いので、機会があれば聴いてみてください。とくに『THE GENTLEMAN IS A DOPE』がお勧めです。

いい歌と、すてきな伴奏。いま最も輝いているシンガーのひとりから、最高のおもてなしを受けました。
(原田 2009/5/2)


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<< プロフィール・原田和典 >> 1970年生まれ。ジャズ誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。 著書に『原田和典のJAZZ徒然草 地の巻』(プリズム) 『新・コルトレーンを聴け!』(ゴマ文庫)、 『世界最高のジャズ』(光文社新書)、 『清志郎を聴こうぜ!』(主婦と生活社)等。 共著に『猫ジャケ』(ミュージックマガジン)、 監修に『ジャズ・サックス・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンターテイメント)。好物は温泉、散歩、猫。

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