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[インタビュー|OFFSTAGE]ケニー・ギャレット

[インタビュー|OFFSTAGE]ケニー・ギャレット

僕にはジャズの伝統を継承する役割がある。

トラディショナルなジャズで始まりエンタテインメントで終わる。
アルト・サックス奏者のケニー・ギャレットのステージは、ジャズの伝統とジャズの持つ自由さをともに楽しめるショウだ。

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ケニー・ギャレットのクインテットのショウは1曲目の「Haynes Here」から「Pushing Words Away」へ、ジャズの王道ともいえる演奏が続いた。8月に2日間4公演。客席はブルーノート東京のオープニング当時からのジャズファンが集まっている感じだ。

「僕はジャズの偉大な創始者たちと一緒に演奏した最後の世代。マイルス・デイヴィス、ウェイン・ショーターなどと共演してきた。だから、ジャズの伝統を受け継ぎ、若い世代に引き継ぐ義務があると思っている。それで、ストレート・アヘッドなジャズを演奏するように心がけているんだ。それでも、1人のミュージシャンとしては、ラテンもやりたいし、アフリカンもやりたいし、ヒップ・ホップにも興味がある。伝統的なジャズと新しい音楽、そしてツアーによって出会った世界中のリズム......。バランスを考えながら取り入れるのが、僕のスタイルなんだ」

1980年代から'90年代、ケニーはマイルスの晩年のバンドでアルト・サックスを演奏していた。マイルス亡き後も、ソニー・ロリンズに捧げたアルバム『triology』やロイ・ヘインズらと『A TRIBUTE TO CHARLIE PARKER』を録音するなど、常に上の世代をリスペクトするスタンスでいる。今回のショウでも、ソニーへ捧げる「J'OUVERT」を演奏した。

「新しい音楽をやろうとしても、フレージングをはじめ、上の世代の影響を受けすぎている。それは否定できない。けっしてマイナスの意味ではなく、ソニーやマイルスのシバリから抜け出せなくはなっているのは事実だよ。マイルスは僕のような当時の若いメンバーに、トラディショナルな演奏を強いることはなかった。むしろいつも"Do yourself!"、つまり、おまえらしくやれ! と言われていた。自分らしくあることこそクールだとね。ところが、マイルス亡き後、なかなか自分らしく演奏することはできなかった。というのも、マイルスの存在が偉大すぎたんだ。彼のバンドに在籍していた僕に対して、多くのミュージシャンやリスナーはマイルスのようなテイストを求める。マイルスがこの世を去って25年になるけれど、最近ようやく僕の解釈の音楽を聴きたいというリスナーが増えている状況だよ」

この7月、ケニーは新しいアルバムをリリースした。タイトルは"Do Yourself!"ならぬ『DO YOUR DANCE!』。自分なりに踊れ! という意味だ。ショウの中盤にタイトルチューンの「Do Your Dance!」を演奏した。曲の途中でブレイクしては、客席をあおり、会場全体のテンションを上げていく。

「日本のオーディエンスはシャイなタイプが多い。目が合うと、顔を伏せてしまう人もいる。だから、ステージの上から盛り上げて、心を開放してもらえるようにしている。その演出にぴったりの曲が「Do Your Dance!」だ。踊ってもいんだよ! 騒いだっていいんだよ! というのがこの曲のコンセプトだからね。東京ではこの曲から続けて「Happy People」を演奏した。世界中の僕のリスナーが待っていてくれるこの曲で、ショウをいい思い出にしてほしかったんだ」

live photo

Photo by Tsuneo Koga

KENNY GARRETT
2016 8.23 tue., 8.24 wed.

KENNY GARRETT(ケニー・ギャレット)
1960年、デトロイト生まれ。10歳でサックスを始める。初リーダー・アルバムは『INTRODUCING KENNY GARRETT』(1984)。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズを経て、87年にマイルス・デイヴィス・グループに参加する。

photography = Hiroyuki Matsukage
interview & text = Kazunori Kodate
interpretation = Kazumi Someya

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