[インタビュー|MY INSTRUMENT]ネイザン・イースト | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

News & Features

[インタビュー|MY INSTRUMENT]ネイザン・イースト

[インタビュー|MY INSTRUMENT]ネイザン・イースト

ネイザン・イーストのTRB6弦

ホイットニー・ヒューストンからマイケル・ジャクソンエリック・クラプトンからダフト・パンクにいたるまで幅広いジャンルのスターの伴奏を務めたベーシストの特別モデル

READ MORE

 セッション界で最高の売れっ子ベーシストとして多忙を極めるいっぽうで、スーパー・グループ、フォープレイの創立メンバーとして30年近くも活動を続け、2014年に自身の名を冠した待望の初リーダー作を発表して以後、ソロ活動にも余念がないネイザン・イースト。彼のシグネチャー・モデルである5弦ベースBBNE2がヤマハのロングセラーとなっているのは、彼を知るベーシストの間では周知の事実だが、4月に自己のバンドを率いてブルーノート東京に出演した際には、同じヤマハ製のTRB6弦を持参した。こちらは市販モデルではなく、本人のために1本だけ作られた特別製である。ヤマハには、ネイザンのアイディアを基に製品化されたNE-1という、中音域をカットするイコライザーがあったが、BBNE2と同様、この6弦にもそれが内蔵されているのが大きな特徴のひとつである。

「フォープレイや、僕自身が曲のメロディーを弾くソロ・プロジェクトでは、この6弦がメインなんだ。最新作の『Reverence』でも多くの曲で使っているよ」

 実を言うとこのベース、日本のメーカー製という以上に日本との深い絆で結ばれている。

「この楽器が完成した時、僕は小田和正のアルバム『Oh! Yeah!』(1991年発売)のレコーディング中で、楽器はスタジオで受け取ったんだ。最初に使ったのはタイトル曲だった。新しい時には真っ白だったけれど、長年経ってずいぶん黄ばんできたね(笑)」

 また、2つのピックアップの間にある日の丸のステッカーは、東日本大震災被害者支援CD『Jazz For Japan』に参加した後、NHKの特別番組に出演した際に貼ったものだという。このベースにはそれ以外にも様々な思い出が宿った、彼にとっては特別製という以上に特別な1本なのである。

instrument
ボディ裏の様子。灰色のテープは、故デイヴ・ブルーベックのサインが消えないように保護するためのもの
instrument
指板には各国の国旗が貼られている。2つの星と星条旗は、アメリカ退役軍人の日に演奏した際に貼ったという

photography = Takashi Yashima
interview & text = Akira Sakamoto
cooperation = Rittor Music

Nathan East(ネイザン・イースト)
1955年フィラデルフィア出身。16歳でバリー・ホワイトのツアーに参加。セッション活動の傍らボブ・ジェームズらとフォープレイを結成し、アルバム14枚を発表。2014年以降3枚のソロ作も発表している。

坂本 信(さかもと・あきら)
札幌市出身。レコード会社や音楽出版社、楽器メーカーの翻訳、数百人のアーティストの取材や通訳を務める。ベーシストとしては高崎晃、伊東たけし、マイク・オーランド、仙波清彦などと共演。

RECOMMENDATION