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[インタビュー|MY INSTRUMENT]ラリー・カールトン

[インタビュー|MY INSTRUMENT]ラリー・カールトン

Mr.335の称号を与えた伝説のギター

カールトンが現在も愛用しているのは、あの自身の代表曲である
往年の名曲「ルーム335」でも使われているギブソン製ES-335だ。
今回はその栄光のギターにスポットを当ててみる。

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 「昔のことなので定かではないが、ES-335を購入したのは1960年代末か70年代初め頃だったと思う。それまでフル・アコースティック・タイプのギブソン製ES-175を使っていたんだけど、スタジオ・ワークが増えていき、幅広い音楽を弾く必要性に迫られてね。それで、より柔軟性のあるセミ・アコースティック・タイプのこのギターを入手したんだ」

 そのES-335は、ペグ、ブリッジ、フレットは交換しているものの、それ以外はオリジナルのままである。弦はダダリオ製の010から052のセットを使用。音程が微妙にずれるとのことで、同店出演中はファーストとセカンドの前に1日2回張り替えているそうだ。

 「とにかく自分が聴きたいと思う音、自分の耳が求めている音になるんだ。したがって自分も気持ちよくプレイできるし、自分を最大限に表現できる」

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使い勝手の良さを考慮したシンプルな足下。この他にラック製のエフェクターがギター・アンプ横に置かれている。(下の写真の左上側)
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以前のHoward Dumble製アンプが貴重になり、近年は同系サウンドが出るBludotone製を愛用。両隣のスピーカーはエフェクト音が出る。

 それにしても"ルーム335"のみならず、クルセイダーズやスティーリー・ダンなど多くの名演を残してきた伝説のギターを、ツアーに持ち歩く不安はないのだろうか。

 「フライトでも荷物で預けてるけれど、これまで一度もトラブルに見舞われたことはない。周りからも心配されるけど、カルマ(業)だよ。自分が良い行いをしていれば、愛器に悪いことは起こらないと思ってるんだ」

 その素晴らしいサウンドは今回のステージでも遺憾なく発揮され、満員のファンを魅了していた。さらには、昨年1月末から2月初めにかけて行われたステージの模様を収録したライヴ盤『ラリー・カールトン&スティーヴ・ルカサー/ライヴ・アット・ブルーノート東京』もリリースされたばかりで(5月20日発売予定)、そちらでもES-335の音色を堪能できる。

 「アンプはレンタルではなく自分のだよ。本国に2台の他、ブリュッセル、ロンドン、それにここ東京にも置いてあるので、わざわざ送る必要はないんだ」

photography = Takashi Yashima
interview & text = Koji Ishizawa
interpretation = Kazumi Someya
cooperation = Rittor Music

Larry Carlton(ラリー・カールトン)
1948年3月2日、カリフォルニア州トーランス出身。1977年に発表した傑作『夜の彷徨』で人気を不動のものに。88年に強盗の銃撃で瀕死の重傷を負うも奇跡の復帰。2010年には松本孝弘との共演作品でも話題をまいた。

石沢功治(いしざわ・こうじ)
音楽アナリスト&ライター。音楽雑誌での取材&寄稿、アルバムのライナーノーツの執筆を手掛ける。また、著書に『NEW YORKジャズギター・スタイルブック』や『ジャズ・ギターの巨匠に学ぶ』などもある。

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