マーカス・ミラーのフェンダー・ジャズベース | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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マーカス・ミラーのフェンダー・ジャズベース

マーカス・ミラーのフェンダー・ジャズベース

マーカス・ミラーのフェンダー・ジャズベース

作曲家やプロデューサーとしての立場で音楽の全体を見渡しながら、
音楽の状況に応じて常に的確なベース・パートを紡ぎ出し続ける、
センス抜群のベース・プレイヤーにとっての理想の楽器とは

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 1970年代に実力派セッション・プレイヤーとして頭角を現して以来、マイルス・デイヴィスからエリック・クラプトンまで、ジャンルを超えた第一線のベーシスト、作曲家、プロデューサーとして活躍を続けるマーカス・ミラー。彼がその輝かしいキャリアのほぼ全期を通じて愛用しているのが、新品で買ったという1977年製フェンダー・ジャズベースだ。アッシュのボディにメイプルのワンピース・ネック、黒のピックガードという基本仕様で、ニューヨークの有名なビルダー、ロジャー・サドウスキーによってプリアンプが組み込まれ、ブリッジもバダスIIに交換されているのが特徴。

 

 マーカスにとっては3本目の楽器で、どれもジャズベースだが、「1本目は車に積み忘れて、取りに戻ったら無くなっていた。2本目は車の中から盗まれたんだ」という。

「パッシヴ型ピックアップならではの有機的で伝統的なトーンが気に入ったんだ。でも、結局は弾く人間次第だと思っているからそれほどこだわってはいない」

 実を言うと、来日公演で彼が使用したのはその愛機ではない。2001年のテロ以来、航空会社のセキュリティが厳しく、楽器を機内に持ち込むのが難しい状況では、預けた楽器に何が起こるかわからない。そこで、ツアー専用の楽器が必要だと、彼の友人が見つけてきてくれたという、製造年も仕様も完全に同じジャズベースだ。

「ギターが趣味の医師が持っていたもので、買ったままほとんど使っていなかったんだ。それをロジャーのところで同じように改造してもらった。サウンドもかなり近いから、今ではレコーディングにも使っているよ」

 マーカスがそこまでフェンダーにこだわるのには、愛着だけでなく、表現者としての理由がある。「今どきの高性能な楽器に比べてフェンダーは音域も狭いし、いろいろと制約も多い。でも、それを補うために工夫することで、表現の可能性が広がる。制約が自由を与えてくれるんだ」

instrument

デイヴ・フリードマン氏による特製のペダルボード。トーンに応じて数種のディレイが使い分けられている。

 instrument

アンプはボグナー" Ecstasy101B "。
完全独立の3ch仕様で、100/50Wの切り替えが可能。

photography = Takashi Yashima
interview & text = Akira Sakamoto
cooperation = Rittor Music

Marcus Miller(マーカス・ミラー)
1959年、ブルックリンに生まれ。'81年よりマイルス・デイビス・バンドに在籍。脱退後のプロデュース作、マイルスの「TUTU」でその才能が広く認知される。ルーサー・ヴァンドロス、エリック・クラプトン、デイヴィッド・サンボーン等数多くのアーティストに関わり、時代をリードし続けるカリスマである。
坂本 信(さかもと・あきら)
札幌市出身。レコード会社や音楽出版社、楽器メーカーのための翻訳、数百人のアーティストのインタヴュー、通訳を務める。ベーシストとしても活動し、高崎晃やマイク・オーランド、伊藤たけし、仙波清彦などと共演。

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