スペインを代表する国民的シンガー、ルス・カサル | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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スペインを代表する国民的シンガー、ルス・カサル

スペインを代表する国民的シンガー、ルス・カサル

情感あふれる歌声で魅了する
スペインの国民的シンガーが初登場

厳選された懐かしいラテンアメリカのソウル・ソングの数々に、彼女の存在を一躍世界へ知らしめた胸を打つ「ピエンサ・エン・ミ(私を思って)」のカヴァー......母の日に捧げる珠玉のレパートリー。知性と気品に満ちたスペインの誇る大スターが臨む、日本初のパフォーマンスに注目!

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text = Yumi Sato

 懐かしのボレロを中心にラテンアメリカの名曲を採り上げた『ラ・パシオン』を携え、本邦初のパフォーマンスに臨む、ルス・カサル。母国スペインでは誰もが知る存在であり、フランスをはじめヨーロッパ、中南米諸国での人気も高く、その知性と気品で幅広い世代を魅了してやまない大スターだ。

 北西部ガリシア州の小村に生まれ、アストゥリアス州都ヒホンで育ち、マドリードでプロ歌手デビュー。活動の原点はロックだが、ポップ、バラードと徐々に歌の領域を広げていく。1991年スペイン映画界の奇才ペドロ・アルモドバル監督が、『ハイヒール』(92年日本公開、音楽を坂本龍一が担当)に彼女を抜擢。主演女優の吹き替えをつとめ、メキシコのボレロ「ピエンサ・エン・ミ(私を思って)」で情感豊かな歌声を披露し、瞬く間に世界のリスナーを虜にした。以来、ずっと温め続けてきたボレロ集の録音が2009年に結実し、昨秋日本盤が発売されている。

『ラ・パシオン』は、超有名ソングを敢えて外し、1940~70年代の佳品を厳選した、じつに意義深い作品だ。「近年埋もれていた、単純な愛のメッセージではない、優れた歌詞の曲を選んだ......レナード・コーエンが歌詞に重きをおくようにね」と彼女。

 巨匠デオダート編曲によるリッチなラテン・サウンドがアルバムを彩るが、今回のステージでは親密なトリオがサポート。彼女にとって20年来の特別な盟友、トップ・ドラマーのティノ・ディ・ジェラルドに加え、ライヴや録音を通して固い信頼関係で結ばれたベーシストとピアニストを招集。「自然体のステージ、素顔の音を楽しんで欲しい」と語る。

 90年の民政移管直後、南米チリの人権コンサートで初めて相まみえたという、ジャクソン・ブラウンとの友情は今も変わらず、昨年9月ルスの生地で行われたイベントにも彼は賛同し、進んで参加してくれたそうだ。故郷へ何らかの恩返しのプレゼントがしたいからと、2012年に始めた「フェスティバル・デ・ラ・ルス(ルス=光のフェスティバル)」。彼女自身が主催者の立場ですべてを取り仕切り、ジャンルを問わず国内外の40グループを呼んでいる。同時に社会問題の認識を人々に喚起すべく、様々な慈善団体へ収益金を寄付してきた。「世の現実に目を向けなければ、苦しみや悲しみ、問題が起こったときには、私のことを思って(※代表曲「ピエンサ・エン・ミ」の歌詞)......なんて歌えない」と、ルスは断言。

 母の日の特別メニューを味わいつつ、慈愛と誠実さにあふれたスペインが誇る歌声、ラテンアメリカのソウル・ソングにとくと浸っていただきたい。

 

『ラ・パシオン』
(リスペクトレコード)



佐藤由美(さとう・ゆみ)
音楽ライター。中南米音楽専門誌、フラメンコ専門誌の編集稼業を経て、2002年よりフリーランスで執筆活動中。ラテン音楽Webマガジン「eLPop(エルポップ)」のメンバーとして情報を発信、イベントにも参画。

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ボレロのような甘さと、ロックが持つ力強さ。相反するものが対になった唯一の歌声です。スペイン史上最高の歌声の持ち主の一人。彼女が満員のスタジアムで囁いたとしても、あなたの耳に届くことでしょう。

 

ジャクソン・ブラウン

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母の日に感謝の気持ちを込めて...

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1名様 ¥12,000(税サ込)



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