公演直前、パット・メセニーが公演について、またメンバーの魅力を語る | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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公演直前、パット・メセニーが公演について、またメンバーの魅力を語る

公演直前、パット・メセニーが公演について、またメンバーの魅力を語る

今回のメンバーの魅力と公演について、メセニーが熱く語る!

「曲を書いて、レコーディングし、ツアーをする・・・・この決まりきったパターンを打ち破りたくてね。長年演奏していない曲もたくさんあるし、これまで私が取り組んできた幅広い音楽全体をプレイできる特別なグループを組んで、それ(=長年演奏していない曲)をさらに発展させるのも面白いと思ったんだ」

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昨年9月に行なわれた「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2015」に登場し、ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラとのコラボレーションで数々の名曲を披露したパット・メセニーが、この5月に自身の新ユニットで来日する。今回は「ブルーノート東京」出演のほか、新宿文化センターでの公演も開催。

つまり、クラブとホールの両方で彼の音楽世界を満喫することができるのだ。共演メンバーはアントニオ・サンチェス、リンダ・オー、グウィリム・シムコック。個人的にはリンダとグウィリムの起用に、パットの変わらぬ慧眼を感じて(かつてペドロ・アスナールやクオン・ヴーを抜擢した時のような)、いまから興奮が収まらない。 来日を控えるパットから、各メンバーとの出会いやその魅力、公演への意気込みなども含めたメッセージが届いたので紹介しよう。

ドラムスのアントニオ・サンチェスはメキシコ・シティ生まれ。2000年以来、パットが最も信頼を寄せるミュージシャンのひとりだ。

「アントニオはいつも素晴らしい。最も偉大なドラマーのひとりであり、ここ数年、一緒にたくさんの音楽をシェアすることができているのは光栄だ。アントニオが担当した映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のスコアはゴールデン・グローブ賞にノミネートされたり、グラミー賞受賞も果たしたけれど、彼の成功は私にとっても誇りだよ。彼とステージで演奏するのは、他のミュージシャンと比べても全く違う経験なんだ。彼は、聴くこと、音楽に強く集中することに対して特別な能力がある。その集中力と別世界から来たようなドラム・プレイは、彼にしか成し得ないものだね」

ベースのリンダ・オーは、中国系の両親のもとマレーシアに生まれ、オーストラリアで育った。近年のニューヨークのジャズ・シーンにおいて、とてもアクティヴに活動を続けているひとりだ。2014年にはマーカス・ストリックランドのグループで来日しているが、パットに抜擢されたことによって、その実力がさらに注目を集めることは約束されたも同然だ。

「私は街に出て、新しいミュージシャンの演奏を聴くのが大好きなんだ。初めてリンダを聴いてすぐに、彼女は私が一緒にプレイしたい候補のトップになった。彼女は私が望むスキルを全て併せ持っている。素晴らしいタイム、素晴らしいノート、強い想像力、すべてが申しぶんない。私がいつもミュージシャンに求めている最も重要なものは、他の共演者やオーディエンスに対して表現を伝える能力だ。リンダはそれを持っているし、それに、私は彼女とプレイすることがとても快適だ。また彼女は、私の"Question & Answer"等のレコードに影響を受けたと話していて、これも嬉しかったね」

アンサンブルを仕上げるのは、英国生まれのピアニスト、グウィリム・シムコック。ジョン・テイラーなどUKジャズの伝説的奏者に師事し、ビル・ブルフォード、ボビー・マクファーリン、ティム・ガーランドらと共演。自身のアルバムもすでに5作品をリリースしている。

「はじめてグウィリムを知ったのは、数年前ロンドンに行ったとき。ラジオ局で誰かに彼のデビュー作をもらったことがきっかけだ。そのCDを聴いて、私はすぐにファンになってしまった。シンプルに言って、グウィリムは私が長年聴いてきたピアニストのなかで最高の存在の一人だね。数年間、一緒にプレイしたいと考えていたけれど、2014年にロンドンで延泊した時に、ようやく共演できた。2,3時間のつもりだったのに、結局、午後ずっと一緒に演奏してしまったんだよ。あんなに短時間で、音楽的なコミュニケーションを取れたのは驚きだった。人生にそのような体験はめったにないからね。また、彼は私の昔のレコードから影響を受けているということもきいて、それも嬉しかったな」

このユニットは、5月の日本公演から本格的にスタートする。果たして、どんなライヴを届けてくれるのだろう。

「どのようにもなる可能性があるよ。私はこのグループからインスパイアされ、たくさんの曲を書いたけれど、過去の曲やこれまでのアルバム全体をある日演奏するかもしれない。オープンな気持ちで、ツアー中、どんなことでもやってみようと思っている。私にはたくさんの曲を書いてきたけれど、それぞれの曲が生まれた時代と関係なく、それら全体を一つのものとして捉えているからね。アントニオ、リンダ、グウィリムと一緒に、幅広い表現ができると思うし、これからの新時代を表現するような内容になるかもしれないよ」

原田和典(はらだ・かずのり)
ジャズ誌編集長を経て、2005年からフリーランスの立場で執筆・取材活動を開始。約1000点のCDライナーノーツを手がける一方、新聞や雑誌に寄稿。ブルーノート東京のウェブサイトではライブ・レポートを担当している。

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