【COTTON CLUB】福盛進也&佐藤浩一インタビュー | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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【COTTON CLUB】福盛進也&佐藤浩一インタビュー

【COTTON CLUB】福盛進也&佐藤浩一インタビュー

福盛進也が世界を見据えて立ち上げたレーベル「nagalu」
その全体像が浮かび上がる3日間

 "どこにもない、自分の音楽"を送り出す「nagalu」。このレーベルの全貌を伝える「nagalu Festival 2021」が丸の内・コットンクラブで3日間にわたり開催される。nagalu設立者であり、3日間4公演すべてに出演する福盛進也と、nagalu第2弾アーティストであるピアニストの佐藤浩一にフェスへの抱負を聞いた。

interview & text = Eisuke Sato

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 長らく米国やドイツに居住したドラマー/作曲家/プロデューサーの福盛進也が、ECMからデビュー作『For 2 Akis』をリリースしたのは2018年のことだった。その後、コロナ禍により本来の予定よりも早く日本へと居住を移した彼が、世界を見据えて2020年新たに立ち上げた自己レーベルがnagaluである。現在同レーベルで3作品が完成し、兄弟レーベルのS/N Allianceから2作品がリリースとなっている。

福盛:"水が流れるような音楽"というのを作りたいという思いをずっと持っていたんです。それで、自分のレーベル名を考えた際に、流れるという言葉が一番しっくりきて、それでnagaluと名付けました。

 フェスの初日は佐藤浩一が主役となり、それはnagalu発2枚組『Embryo』を下敷きとする。さまざまな情景を優美に喚起する同作はピアノ・ソロによる "Water"とストリングス音も効果的に用いたアンサンブル盤"Breath"からなる2枚組だ。

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佐藤:当日はアンサンブルで始めて、中盤でソロを何曲か演奏して、またアンサンブルをやろうかなと思っています。

 まずは、従来のものに染まらないというツッパリありき。nagalu作品は2枚組、モノラル録音、特殊ジャケットを採用するといった足かせを設定しているが、nagaluフェスでも普段は演劇に関与している照明担当者を特別に起用して行われる。

佐藤:それがちょっと楽しみですね。音楽自体はできるだけたっぷりやって、いろいろなことを見せていきたいと考えています。(アルバムで)エレクトロニクス音が入っている曲はアレンジを変えようかと思っていますし、可能だったら1曲は新曲をやりたいですね。

福盛:いつものジャズの世界だと、場所や関わる人がどうしても被ってきてしまう。それに違和感を覚え、何か変えたいなと思ったんです。だから、いつものコットンクラブのものとは違うものになると思います。

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 2日目は林正樹グループが出演する。実は、渡辺貞夫からジャズ・ビヨンド表現のさまざまな担い手まで引く手数多のピアニストである林であるが、自らの名前を冠したグループでライヴをするのは、今回が初めてとなるそうだ。

福盛:僕は正樹さんの作る曲が大好きなんですよ。正樹さんの曲は、楽譜上難しく見えるけど実はどこかキャッチーで、不思議な魅力があるんです。

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 福盛は普段、二人のピアニストを厚遇している。一人は佐藤浩一で、もう一人が林正樹だ。彼らは、研ぎ澄まされたリアルなジャズ感覚とジャズを飄々と超えるしなやかさを理想的に併せ持つ最たる日本人ピアニストといえる。

福盛:出会いについては、めちゃくちゃ恵まれていると思いますね。そういう運は持っていると思います。浩一君と正樹さんは僕が一番共演の多いピアニストですが、全然違うタイプのピアニストであり作曲家でもあり、得る喜びが各々で違うんです。だから、初日と2日目はその対比が面白いし、楽しみでもありますね。

 最終日となる3日目は、nagalu発の第3弾アーティストであるRemboato(1stショウ)と、レーベルを主宰する福盛進也の『Another Story』(2ndショウ)が主役に立つ公演が披露される。前者はギターの藤本一馬、ピアノの栗林すみれ、ベースの西嶋徹と福盛によるカルテットで、全員が対等に曲を出し合っている。

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福盛:別にリーダーが誰ということもなく、自然と集まった4人でライヴをやるようになったんですが、みんな個性的なものを出してくるし、すぐにしっくりきましたね。これが4組の中で一番ジャズに近い感じがします。

 また、Remboatoの魅力を彼はこうも説明する。

福盛:僕の個人的な意見なんですが、このグループはすみれちゃんにかかっているんじゃないかな。彼女はここ数年ですごく進化したと思います。だからこそ彼女と共にこのグループはどんどん変化していくと思っていますし、それがこのグループの面白みに繋がると思います。

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 そして、フェスの最後を飾るのは、佐藤浩一ほか『Another Story』参加者たちを厳選しての福盛進也が主役となるライヴだ。

福盛:『Another Story』を人前でやるのは初めてなんです。配信はやったことがあるけど、前に予定していたコットンクラブも2度公演が延期になってしまったので、今回は満を持してという感じです。ようやく、ですね。

 世界に発信するべき日本人の今のジャズを求めた『Another Story』はヴォーカル曲の存在も印象に残る作品だが、ライヴにはリトル・クリーチャーズの青柳拓次、そしてSalyuも参加する。

福盛:歌が入る曲もまた、『Another Story』の世界ですからね。この前、拓次さんと一馬さんと3人でライヴをしたのですが、アンビエントな空気の中に歌やメロディが存在する世界を前面に出しました。だから、そういう世界も入れたいと思いますし、童謡も取り上げたい。きっと"『Another Story』、その後"という感じになると思います。

 nagaluを立ち上げ『Another Story』を出して、もうすぐ1年。「nagalu Festival 2021」は、同作を発端とする信頼できる仲間たちともう一つ先にあるnagaluワールドを出すという感じになるに違いない。

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福盛:全体としては、nagaluを立ち上げた理由と同じなんですけど、こういう音楽って日本に根付いてこなかったので、それらをみなさんに見てもらいたい。そして、こういう音楽が日本から出てきて世界に発信できるということを知ってもらいたいです。

佐藤:奇跡的な3日間になりそうな気がします。(出演しない)2日目も行きたいし、こんな音楽を3日間体験できるなんて、本当に贅沢だと思います。

福盛:そうですね。nagaluとしてやるのは初めてですし、その3作品とS/N Alliance も2作品が出ているので、僕たちの全体像が見えてくると思いますね。

RELEASE INFORMATION

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佐藤浩一 『Embryo』(nagalu)
※2021年11月30日発売

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Remboato 『星を漕ぐもの』(nagalu)
※2021年12月20日発売


LIVE INFORMATION

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☆Shinya Fukumori presents「nagalu Festival 2021」
佐藤浩一 〜 "Water & Breath"
『Embryo』リリース・ライヴ

2021. 11.25.thu
open 6:00pm / start 7:00pm
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/koichi-sato/

<MEMBER>
佐藤浩一 (p)
市野元彦 (g)
吉野弘志 (b)
福盛進也 (ds)
伊藤彩 (vln)
梶谷裕子 (vln)
吉田篤貴 (vla)
Robin Dupuy (vc)


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☆Shinya Fukumori presents「nagalu Festival 2021」
林正樹グループ 〜 "Blur The Border"

2021. 11.26.fri
open 6:00pm / start 7:00pm
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/masaki-hayashi-group/

<MEMBER>
林正樹 (p)
藤本一馬 (g)
須川崇志 (b)
福盛進也 (ds)
吉田篤貴 (vln)


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☆Shinya Fukumori presents「nagalu Festival 2021」
Remboato 〜 "Nordo Al Sudo"
『星を漕ぐもの』リリース・ライヴ

2021. 11.27.sat
[1st.show] open 2:45pm / start 3:45pm
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/remboato/

<MEMBER>
藤本一馬 (g)
栗林すみれ (p)
西嶋徹 (b)
福盛進也 (ds)


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☆Shinya Fukumori presents「nagalu Festival 2021」
SHINYA FUKUMORI Another Story 〜 "美しき魂"

2021. 11.27.sat
[2nd.show] open 5:30pm / start 6:30pm
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/shinya-fukumori/

<MEMBER>
福盛進也 (ds)
佐藤浩一 (p)
藤本一馬 (g)
西嶋徹 (b)
蒼波花音 (sax)
青柳拓次 (vo,g)
Special Guest: Salyu (vo)

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