祝・結成40周年!歩み続けるインコグニートの軌跡 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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祝・結成40周年!歩み続けるインコグニートの軌跡

祝・結成40周年!歩み続けるインコグニートの軌跡

結成40周年を迎えた
UK随一のジャズ・ファンク・バンドが
豪華ゲスト参加の新作を携えて登場

 インコグニートとしての40周年は、ブルーノート東京に出演して20周年という節目にも当たる。常に安定したクオリティの作品を発表してきた彼らは、ステージでも期待を裏切らない。肌の色や宗教を超えて"ワン・ラヴ"を謳うハッピーな空間を今再び。

text = Tsuyoshi Hayashi

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 モーリシャス出身のフランス系英国人ギタリスト、ジャン=ポール"ブルーイ"モーニック(1957年生まれ)率いるインコグニートは、今年で結成40周年を迎えた。ブルーノート東京への初登場は'99年12月で、こちらも記念すべき20周年。以降、シトラス・サン名義などの公演も含めてほぼ毎年来日しているが、ブルーイにとってブルーノート東京は、2004年の公演で日本人の奥様にプロポーズした場所でもある。東日本大震災の直後には周囲に反対されながらもショウを決行し、同年の8月にも〈Love For Japan〉と銘打ったライヴを行なった。インコグニートのブルーノート公演は、バンドにとってもファンにとっても「帰ってきた」という思いが強いかもしれない。

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左/'99年にブルーノート東京初出演を飾ったインコグニート。ブルーイの表情も精悍 INCOGNITO 1999/12/6-12/11 右/震災直後のステージでは毎回、「イッショニ、タテナオソウ!」というMCからスタート INCOGNITO 2011/3/30 - 4/2

 一般的にインコグニートといえばジャイルズ・ピーターソン主宰のトーキング・ラウドと契約した'90年以降の活動が知られている。だが、スタートは'79年。ブルーイが一時在籍していたライト・オブ・ザ・ワールドのタブスことポール・ウィリアムズ(b)やピーター・ハインズ(key)を引き連れてロンドンで結成した。デビュー曲は、2014年8月の結成35周年記念公演で披露したこともある「Parisienne Girl」('80年)。フュージョン色の強いライトなジャズ・ファンク集団として密かに人気を集めるも、'81年にアルバム『Jazz Funk』を出して活動休止。派生的なプロジェクトも立ち上げたが、ブルーイはプロデュースなどの裏方仕事で食いつなぎ、アーティストとしては雌伏の時を過ごすことになる。その後しばらくしてインコグニートとしての活動を再開。トーキング・ラウドと契約してリリースしたのが、10年ぶりに発表したセカンド・アルバム『Inside Life』('91年)だった。ここからはジョセリン・ブラウンが歌うロニー・ロウズ~サイド・エフェクトのカヴァー「Always There」('91年)が話題となり、この曲のヒットをきっかけに、70年代のソウル、ファンク、ジャズ、ブラジル音楽などに影響を受けた"アシッド・ジャズ"と呼ばれるムーヴメントをブラン・ニュー・ヘヴィーズらとともに盛り上げていく。

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ジョセリン・ブラウン(左)とは2008年に共に来日 INCOGNITO with special guest JOCELYN BROWN 2008/12/20 -12/25

 '92年作『Tribes,Vibes+Scribes』からのスティーヴィー・ワンダー曲カヴァー「Don't You Worry 'Bout A Thing」や'93年作『Positivity』に収録された「Still A Friend Of Mine」ではメイザ・リークの温かで深みのあるヴォーカルもトレードマークとなり、日本での人気も定着。"匿名"を意味するバンド名よろしく多国籍のメンバーはブルーイを軸としながらも流動的だが、トーキング・ラウドを離れて自主レーベルに籍を移した2002年以降も変わらぬスタンスでコンスタントに作品を発表し、ライヴも行ってきた。現在のインコグニートではフランシス・ヒルトン(b)やマット・クーパー(key)などがブルーイと並ぶスター・プレイヤーとして活躍しているが、こうした名手が集う彼らの音楽やライヴは、いつ聴いても一定したクオリティが保証されている。

 3年ぶりに発表された新作『トゥモローズ・ニュー・ドリーム』でもホーンズが立ち上がる人力演奏のダイナミクスは不変で、メイザ・リーク、ジョイ・ローズ、ヴァネッサ・ヘインズ、イマーニといった歴代のシンガーに加えて、フィル・ペリー、テイク6、マリオ・ビオンディ、そしてUKの新鋭ネオ・ソウル・バンド=ヤクルからジェイムス・バークリーらが40周年に華を添えた。

 新作では、2017年12月の公演で日本のファンにお披露目された南イタリアの女性シンガー、ロベルタ・ジェンティーレもフィーチャー。これまでブルーノート東京では、ロベルタのような今後の活躍が期待される新人のほか、一般的にはあまり知られていない実力派やブルーイのアイドルであるヴェテラン・アーティストともステージをシェアしてきた。

 2003年3月には、まだ日本でそれほど知られていなかったブラジリアンAORの気鋭エジ・モッタをブルーイとブラス・セクションの面々がサポートした公演があったし、インコグニートとしてはメイザをゲスト扱いした公演に加えて、ジョセリン・ブラウン(2008年12月)、リオン・ウェア(2012年8月)、チャカ・カーン(2015年3月)、アンプ・フィドラー(2018年12月)を招いたスペシャルなショウがあったことも忘れ難い。また、ブルーイのソロ作発表を記念した2013年6月のショウでは亡きドナルド・バードのトリビュートも謳い、2016年4月に行ったシトラス・サンの公演ではボビー・ハンフリーをゲストに招くなど、70年代のブルーノート・レコーズ(特にBNLA品番の作品)に影響されてきたことを明かすようなステージもあった。2018年8月のシトラス・サン公演で日野皓正を招いたことも、彼らのジャズ、そして日本人ミュージシャンに対するリスペクトの表れと受け止めたい。

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左/ブルーイが「私だけでなく、インコグニート全員にとっての夢の実現」と語ったチャカ・カーンとの共演。 CHAKA KHAN with INCOGNITO 2015 3/2 - 3/3 右/デトロイドの鬼才キーボード奏者、アンプ・フィドラーを迎えた昨年の公演も記憶に新しい。 INCOGNITO with special guest AMP FIDDLER 2018/12/11 - 12/15

 店内に「Everyday」が流れ始めると"インコグニートの季節"を実感する。年末の公演が多いのは、日本でハッピーな時を共有したいからでもあるだろう。「肌の色や宗教を超えてひとつになろう」とブルーイが呼び掛け、ボブ・マーリーの「One Love」を流しながら退場する場面にも彼らの主張が詰まっている。結成40周年とブルーノート東京公演の20周年。今年はさらに祝賀ムードに包まれそうだ。

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『トゥモローズ・ニュー・ドリーム』
(SPACE SHOWER MUSIC)


林 剛(はやし・つよし)
R&B/ソウルをメインとする音楽ジャーナリスト。CDの解説を含め、様々なメディアに寄稿。今年は現行R&B のチェックに加えて、創立60 周年を迎えたモータウン、ニューオーリンズの新世代アクトに注目している。

INCOGNITO "40th Anniversary Celebration"
インコグニート "40th Anniversary Celebration"
2019 12.11 wed., 12.12 thu., 12.13 fri., 12.14 sat., 12.15 sun.

12.11 wed., 12.12 thu., 12.13 fri.
 [1st]Open5:30pm Start6:30pm [2nd]Open8:15pm Start9:00pm
12.14 sat., 12.15 sun.
 [1st]Open4:00pm Start5:00pm [2nd]Open7:00pm Start8:00pm

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公演詳細はこちら → http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/incognito/

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