巨匠ピアニスト、ハービー・ハンコックの一夜限りのプレミアムライヴ | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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巨匠ピアニスト、ハービー・ハンコックの一夜限りのプレミアムライヴ

巨匠ピアニスト、ハービー・ハンコックの一夜限りのプレミアムライヴ

巨匠が色鮮やかに表現まさにプレミアムライヴ

巨匠ピアニスト、ハービー・ハンコックの一夜限りのプレミアムライヴ。次世代のジャズシーンを担う音楽家たちとともにそのプレイは色鮮やかにステージに描かれた。

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 特別なこの夜、オーディエンスがチェックインカウンターから客席のフロアへ続々と降りていく。至近距離で巨匠、ハービー・ハンコックの演奏を楽しめる喜びに、どの顔も明らかに高揚している。

 ショーは色鮮やかだった。1曲目の「ACTUAL PLOOF」は即興で抽象画を描くような演奏。カルテットは、多くの場合ドラムスとベースでリズムを支え、その上でソロ楽器が演奏する。しかし、ハービーはリズムセクションにも思い切り自由を与えていた。ベースのジェイムス・ジナスのサポートを得て、ドラムスのヴィニー・カリウタが太くて激しくて正確で幾何学的な演奏をする。そこにハービーの高音域がキラキラした音で色づけしていく。会場の空気の色まで変わったように思えてくるから、音楽は楽しい。「Vinnie Colaiuta! Rock'n Roll Drums.Every Time!」

LIVE1
HERBIE HANCOCK - One Night Premium Live -
ハービー・ハンコック
2014.9.4thu.
HerbieHancock(p),VinnieColaiuta(ds), JamesGenus(b),LionelLoueke(g)

SET LIST
1st
1.ACTUAL PROOF/2.SEVENTEEN ~ WATERMELON MAN/3.COME RUNNING TO ME/4.LIONEL SOLO/5.HERBIE SOLO/6.SPEAK LIKE A CHILD/7.CANTALOUPE ISLAND ~ FLYING ~ CANTALOUPE ISLAND/EC1.ROCK IT/EC2.CHAMELEON

photography = Takuo Sato

 ハービーがヴィニーのタイトな演奏を絶賛した。

 客席のボルテージが最初にマックスを迎えたのは「WATERMELON MAN」だ。誰もが知るあのフレーズに会場がわく。演奏はより色鮮やかに。夏の終わりを告げるような切なさが音に混じる。

 じっくり楽しませてくれたのは「SPEAKLIKEA CHILD」だろう。アコースティックの名曲だが、この夜はエレクトリックバージョン。ここでのヴィニーはリズムをキープ。スネアは微妙に後ろ、キックはやや前で演奏を組み立てる。その上で、ハービーが今度は水彩画を描くように演奏する。

LIVE2

 圧倒的だったのはギターのリオーネル・ルエケだ。ショートスケールのギターで小気味よいカッティングを聴かせた。ショーの中盤のソロでは。ハンマリングから、ボディをパーカッシヴに叩く。次世代のジャズシーンを担う音楽家の魅力をハービーが最大限引き出していた。

神舘和典(こうだて・かずのり)
1962年東京出身。音楽ライター。『新書で入門ジャズの鉄板 50枚+α』(新潮新書)『25人の偉大なるジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』、『上原ひろみサマーレインの彼方』(ともに幻冬舎文庫)など著書多数。

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