ブルーノート東京の観客は
いつも音楽やミュージシャンを
リスペクトしてくれます

 「一度、ブルーノート東京で誕生日を過ごしたことが忘れられませんね。誕生祝いの大きなケーキやスペシャルカクテルまで用意してもらいました。ほかの誰がそこまでしてくれるでしょうか。本当に光栄です」
 こう語るのは、1960年代からジャズ・ベース界の第一線に立ち続けるロン・カーター。ジム・ホールとのデュオ、ビッグ・バンド、近年のマザーシップであるゴールデン・ストライカー・トリオなどで、数々の名場面を届けてきた最多登場アーティストのひとりである。
 「ブルーノート東京は、音楽を大切にしている場所として有名です。観客はいつも音楽やミュージシャンをリスペクトしていますし、音響スタッフも、私がバンドと一緒にお客さんに届けたい音を理解しています。とても演奏しやすいので、毎回メンバー全員が感謝しています」
 2021年には音楽を通じて日米親善に寄与したとして旭日小綬章を受章するなど、日本との絆はいっそう強まるばかりだ。
 「日本のお客さんは、我々の音楽に敬意を払い、厳しい時でもライヴ・ミュージックとクラブを支えてくれました。改めて感謝を伝えたいですね。私は60年以上も演奏を続けてきましたが、バンド・リーダー達もメンバー達も、オーディエンスからの影響を自覚していますし、聴いてくださる方がいるから私たちは活動できています。家、リハーサル、ジャム・セッション等ではできないことが、皆さんがそこにいることによって生み出せるのです」