2019 10.9 wed., 10.10 thu., 10.11 fri.
SÍLVIA PÉREZ CRUZ & MARCO MEZQUIDA
artist MARCO MEZQUIDA , SÍLVIA PÉREZ CRUZ
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
昨年5月の来日公演も大好評だった歌手/女優のシルビア・ペレス・クルスが約1年半ぶりに待望の再来日を果たしました。しかも今回は、才人ピアニストのマルコ・メスキーダとのデュオによるステージです。
ステージにいるのは確かにふたりなのですが、楽器のコンビネーションは実に多彩です。バンドスタンドには向かって左からグランドピアノ、アコースティックギター、アップライトピアノが置かれ、マルコはほかにおもちゃのピアノも奏でました。グランドピアノの蓋には小型のシンバルがぶら下げられています。マルコはその鍵盤を弾くだけではなく、内部奏法で弦を引っ掻いてハープのグリッサンドのような音を出したり、かと思えば今度は弦を押さえてスタッカート気味の音をリズミカルに奏でたり、縦横無尽なアプローチでシルビアの歌を引き立てます。またシルビアは、曲によってアコースティックギターも演奏。リズミカルに楽器の胴体を叩きながら、しなやかな歌声を響かせました。シルビアとマルコはピアノ競演も行なったのですが、こちらには室内楽のような趣がありました。
曲目はシルビアの出世作『Granada』に入っていたワルツ「Pequeño Vals Vienés」、サンバの「Asa Branca」、レディオヘッドのアルバム『OK Computer』に入っていた「No Surprises」、我が国のファンへの感謝を込めて即興で披露された日本語のナンバー等。サイモン&ガーファンクルのヒット曲「Sound of Silence」を、静寂の一歩手前まで音量を落としに落として表現したのも圧巻でしたし、オーネット・コールマン作「Lonely Woman」をワードレス・ヴォーカルで朗々と歌い上げた後、ふと大スタンダード・ナンバー「My Funny Valentine」につなげていく展開も大いにスリリングでした。パフォーマンスの音が消えるまでじっと聴き入り、その後、一拍おいて猛烈な拍手と歓声を送ったオーディエンスの真摯さも、シルビア、マルコ両人を大きくインスパイアしたに違いありません。
公演終了後には、ふたりの持ち曲を記したポストカードが出口で配布されます。表面にはふたり+猫の写真、裏面には主な演奏曲目が載っています。あらためて彼らのレパートリーの幅広さに感服するとともに、カタルーニャ音楽への関心がさらに深まること間違いなしといえましょう。やはりカタルーニャ出身のトランペット奏者/歌手であるアンドレア・モティスのファンにもお勧めのライヴです。公演は明日まで開催されます!
(原田 2019 10.10)
Photo by Yuka Yamaji
2019 10.9 WED.
1st | |
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1. | ESTRELA |
2. | VESTIDA |
3. | PLUMITA |
4. | MAÑANA |
5. | ASA BRANCA |
6. | NIÑO MUDO |
7. | ENSUMO L’ABRIL |
8. | ORACIÓN DEL REMANSO |
9. | SOUND OF SILENCE |
10. | SIGA EL BAILE |
11. | CHRISTUS~LONELY~MY FUNNY VALENTINE |
EC. | NO SURPRISES |
2nd | |
1. | ESTRELA |
2. | MENORCA |
3. | VESTIDA |
4. | MALLORCA |
5. | MAÑANA |
6. | ASA BRANCA |
7. | BARCO NEGRO |
8. | NIÑO MUDO |
9. | ENSUMO L’ABRIL |
10. | LLORONA |
11. | SIGA EL BAILE |
12. | NO SURPRISES |
EC1. | JOIA~JAP |
EC2. | PEQUEÑO VALS |