原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

楽曲「Late Nights & Heartbreak」がジェイ・Zの「4：44」にサンプリング。英国からやってきた話題沸騰のソウル・ミュージック～ファンク集団、ハンナ・ウィリアムズ＆ジ・アファーメイションズが昨日から記念すべきブルーノート東京初ステージを繰り広げています。

DJ JINがスピンした快いグルーヴが余韻を残すなか、7人のメンバーが登場。ドラムスのジャイ・ウィドーソン・ジョーンズがタイトな16ビート（個人的に"ブーガルー・ビート"と呼んでいるタイプのリズムです）を打ち出し、それが8小節ほど続いた後に他のメンバーも演奏に入ります。ウィリアムズの第一声は日本語で「こんばんは、みなさん！」。音源で聴いていた通りのソウルフルでヴォリュームのある声がクラブに響きわたりました。曲は「Callin' Me Back」、ウィリアムズは真っ赤な髪の毛、キラキラのジャケット姿でタンバリンを振りながら歌い、ジ・アファーメイションズも笑顔全開で体を揺らしながらプレイします。ホーン・セクションはリアム・トレジャーのトロンボーンとジョン・プラットのバリトン・サックスです。ぼくは'60～'70年代のR&Bやファンクも大好きで、ホーン・セクションときくとメンフィス・ホーンズ（オーティス・レディング等のバックで吹いていた）やホーニー・ホーンズ（Pファンク軍団ご用達だった）など往年の名ユニットをすぐに思い出してしまうのですが、前者はトランペットとテナー・サックス、後者はトランペット、アルト・サックス、トロンボーンの組み合わせを主に、幅広い音域をカバーしていました。いっぽうリアムとジョンはあくまでも低く、ゴツくソリッドに突進します。骨太そのもののホーンの重なりがまた、歌姫の迫力あるシャウトと実に合うのです。

「Your Luck Can Change」、「Another Sunrise」、ジーン・アモンズ「Jungle Strut」風のリズム・パターンに乗ったインスト曲「7AM to Seville」と、ヒット・アルバム『Late Nights & Heartbreak』からのナンバーが次々と登場します。溢れるソウルやファンクへの愛と情熱、シンガーとバンドが一体となった音作りが圧巻です。またバラード「Only with You」は、ジェームズ・グレアムのキーボードとウィリアムズによるデュオでパフォーマンスされました。ウィリアムズのリリカルでキメ細やかな一面がたっぷり発揮された名演だったと思います。もちろん皆お待ちかねであろう「Late Nights & Heartbreak」もエモーショナルに届けてくれました。

またオーラスでは、次のアルバムに入る予定というナンバーをいち早く2曲も披露。「What Can We Do」はハンナ・ニコルソンとの息の合ったツイン・ヴォーカルが印象的な、多彩な曲調を持つナンバー。そして「Sinner」はどこかカントリー風味を感じさせるバラードです。ハンナ・ウィリアムズ＆ジ・アファーメイションズは今夜もエンターテインメント性たっぷり、盛りだくさんのプログラムでオーディエンスを熱狂させることでしょう！

(原田 2018 2.1)

Photo by Tsuneo Koga