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JOYCE MORENO with special guest PEDRO MIRANDA "100th Birth Anniversary Celebration of SAMBA" @COTTON CLUB

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


今年のジョイス・モレーノの来日公演は、例年にも増してバラエティに富んでいます。最新作『Fiz Uma Viagem ある旅をした』からのナンバーを届けるのはもちろんのこと、サンバ100年を祝う選曲もあり、さらに気鋭ペドロ・ミランダを迎えたコーナーも設けるなど、とにかく全編、耳と目が離せないという感じです。ブラジル音楽の魅力を、おなかいっぱいになるまで伝えてくれます。

「ブルーノート東京」公演は本日から始まりますが、ぼくはおととい「コットンクラブ」で行なわれたステージに足を運びました。まずはジョイス・バンド単独によるパフォーマンスから始まります。7月に国内発売された『Fiz Uma Viagem ある旅をした』は、ブラジル音楽の至宝ドリヴァル・カイーミのソングブック。"母がドリヴァルの大ファンだったので、私も幼い頃から彼の歌をよく聞いていました。後年知り合うことができたのは、何事にかえられない喜びでした"と語り、「Maracangalha」、「Maricotinha」、「Sábado em Copacabana」(土曜日のコパカバーナ)を、アルバムの中からじっくり聴かせます。続く「Samba Pra Elis」はエリス・レジーナに捧げた曲。"彼女と私は親友でした。あまりにも若くして世を去ってしまいましたが、彼女は今も向こうで歌い続けていることでしょう"。ラストにエリスの愛唱曲「Upa, Neguinho」(エドゥ・ロボ作)の一節を引用し、客席から盛大な拍手を引き出します。その他、アフロ・サンバの名曲からバーデン・パウエルの「Canto De Tansan」、ボサノヴァの名曲からアントニオ・カルロス・ジョビンの「Chega de Saudade」を届けたあと、いよいよペドロ・ミランダが登場します。

ペドロは元グルーポ・セメンチのメンバー、卓越したシンガー&パンデイロ(ブラジルのタンバリン)奏者です。カエタ―ノ・ヴェローゾ、アート・リンゼイ、マルコス・スザーノ等ともコラボレーションを繰り広げてきました。若き日の千葉真一(新田真剣佑の父親)を思わせる精悍な表情、軽やかな歌声、即興的につけるハーモニーのうまさ、どれも強く印象に残ります。

"このへんで1917年、つまり今から100年前に発売されたサンバの曲を歌ってみましょうか"というジョイスの一声で始まったのは「Pelo Telephone」(電話で)。韻を踏んだ歌詞、ユーモラスな曲調で楽しませた後、いよいよ現代サンバの気鋭、ペドロのステージが始まりました。「Meu Pandeiro」で聴かせた驚異的な音のキレを持つパンデイロ演奏、ノエル・ホーザの「A Razao」における歌心、まさに絶品! 今度はぜひ単独公演に接したいと思いました。そしてゼー・ケチの「A Voz do Morro」で再びふたりが合流、この豪華な"ブラジル音楽のセレブレイション"を締めくくりました。
(原田 2017 9.10)


photo by Y.Yoneda

SET LIST

2017 9.8 FRI.
1st & 2nd
1. MARACANGALHA
2. MARICOTINHA
3. SÁBADO EM COPACABANA
4. SAMBA PRA ELIS
5. FORÇAS D’ALMA
6. CANTO DE YANSAN
7. PURO OURO
8. A RÃZAO DÁ-SE A QUEM TEM
9. SAMBA ORIGINAL
10. MEU PANDEIRO
11. O SAMBA É MEU DOM
12. CHICLETE COM BANANA
13. PENALTY
14. FEMININA
EC. A VOZ DO MORRO

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