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SADAO WATANABE ORCHESTRA

artist SADAO WATANABE

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


「世代を超えた音の語らい」という言葉が、これほどぴったり来るライヴも珍しいのではないでしょうか。渡辺貞夫がさまざまなジェネレーションの凄腕を集めて結成したオーケストラのブルーノート東京公演が始まりました。

このオーケストラの原型は、1996年に結成された"渡辺貞夫ビッグバンド"です。2014年にリスタートし、翌年アルバム『アイム・ウィズ・ユー』をリリース。この5月には『アンコール!』も発売されたばかりです。ファンにはおなじみのオリジナル曲と、外国人ミュージシャンが書いたちょっと通好みの曲が共存するプログラムは、このオーケストラならではのユニークなもの。

渡辺貞夫は入魂の吹奏を繰り広げるだけではなく、他の管楽器奏者と共にアンサンブル・パートも演奏したり、曲によっては指揮を担当するなど大活躍です。そしてバンド・メンバーのプレイも大きくフィーチャーされました。巨匠とその伴奏バンドという図式はまったくなく、「みんなで一緒にいい音楽を作っていこう」という姿勢が感じられるのも、このオーケストラのいいところです。80代から20代までが一斉に演奏する・・・これはまさしくジャズの豊かな歴史と、層の厚さを証明しています。渡辺貞夫、近藤和彦、吉田治のアルト・サックス・ソロが一晩にまとめて聴ける機会など、そうあるものではありません。また「Tokyo Dating」では計6本のサックスによるソリ(アンサンブル)がフィーチャーされ、客席をさらに沸かせました。

音楽監督を務める村田陽一は、もちろんトロンボーン奏者としても圧倒的な手腕を発揮。なかでもギル・エヴァンス、マイルス・デイヴィス、キース・ジャレット等がとりあげた名曲「Meaning of the Blues」におけるプレイは絶品でした。さらにサド・ジョーンズ作「Three in One」、渡辺貞夫が62年にバークリー音楽院に留学した頃からの友人だったというオリヴァー・ネルソン作「Anacrusis」では、とことん快調にスウィングするビッグ・バンド・モダン・ジャズを味わわせてくれました。また「Home Meeting」では、テナー・サックスの鈴木圭と、ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラでも光り輝いていたトランペット奏者の二井田ひとみが、きらめくようなソロ交換を繰り広げました。公演は7月3日まで、連日続きます。
(原田 2017 6.30)


Photo by Takuo Sato

SET LIST

2017 6.30 FRI.
1st
1. KITCH
2. TOKYO DATING
3. THREE IN ONE
4. ANACRUSIS
5. MEANING OF THE BLUES
6. WHERE AM I
7. TREE TOPS
8. SIMPATICO
9. TEMBEA
EC1. HOME MEETING
EC2. WATER COLORS
 
2nd
1. HIP WALK
2. KILLER JOE
3. MOMENT’S NOTICE
4. EARLY SPRING
5. I’M WITH YOU
6. EYE TOUCH
7. WARM DAYS AHEAD
8. NOT QITE A SAMBA
9. AIRY
10. EPISODE
11. WATER COLORS
EC1. HOME MEETING
EC2. 花は咲く

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