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THE CLAYTON BROTHERS

artist KENDRICK SCOTT , THE CLAYTON BROTHERS

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


凄腕ミュージシャンたちが世代を超えて集まり、新鮮そのもののアコースティック・ジャズを届けてくれます。グラミー賞ノミネート経験もある、ザ・クレイトン・ブラザーズの公演です。

リーダー格はベースのジョン・クレイトンと、その2歳下のアルト・サックス奏者ジェフ・クレイトン。二人が中心となって、1977年に始まりました(ということは、今年で結成40年です)。他のメンバーについては時期によって入れ替えがありましたが、今回はジョンの愛息であるジェラルド・クレイトン(ピアノ)、テレル・スタッフォード(トランペット)、ケンドリック・スコット(ドラムス)を帯同。半世紀に迫るキャリアを持つクレイトン兄弟の熟練の技に、2010年代のジャズを牽引する存在であるジェラルドとケンドリックの才気がぶつかり、さらに'90年代の若手であるテレルが貫録たっぷりの吹奏でこれに絡むのです。ぼくはアルト・サックス奏者ボビー・ワトソン率いるバンド"ホライズン"で初めてテレルの演奏を聴いてファンになり(ロイ・ハーグローヴの後任だったと記憶しています)、いろいろアルバムを集めてきましたが、幅広い音域、豊かなトーン、時にファンキー時にリリカルなアドリブと、この夜も素晴らしいプレイを味わわせてくれました。今回の来日で、彼への注目が高まることを願ってやみません。

プログラムは『Back In The Swing Of Things』からの「Blow Your Horn」、『The New Song And Dance』からの「Cha Cha Charleston」、『Soul Brothers』からの「Saturday Night Special」、今は亡きジョーンズ兄弟(ハンク、サド、エルヴィン)に捧げた「The Jones Brothers」(『Brother to Brother』から)などなど。ザ・クレイトン・ブラザーズは基本的に兄弟のオリジナル曲やアレンジ曲を演奏するグループなのですが、"モダン・ジャズの古典的パターンであるテーマ→アドリブ→テーマという展開の中に、よくこんなに多彩なアイデアを持ち込めるなあ"と、ぼくは改めて目を見張りました。「Cha Cha Charleston」で管楽器が同じフレーズをリピートするなか激しいドラム・ソロが繰り広げられるところ、「Saturday Night Special」でトランペットのアドリブが始まるやいなや突然バックがピアノとベースだけになるところ、数小節だけジョンの無伴奏ソロがフィーチャーされるところ、エンディングに行くかと思ったら別のリフ(短いフレーズ)が出てもう一丁楽しませてくれるところなどなど、卓越したアレンジャーでもあるクレイトン兄弟のアイデアがあらゆるところに盛り込まれている印象を受けました。後半、ジョンは弓弾きで「Emily」(ジョニー・マンデルが1964年に作曲。フランク・シナトラやビル・エヴァンスの名演もあり)を披露。まさしく至芸、ウッド・ベースの生の音色がブルーノート東京に響き渡りました。

個々での来日経験も少なくないクレイトン兄弟ですが、このバンドでやってくるのは初めてです。気合の入り方も尋常ではありません。21日の最終公演まで、様々なアルバムからの楽曲を張り切ったプレイで届けてくれることでしょう。
(原田 2017 1.19)


Photo by Yuka Yamaji


●ケンドリック・スコットは、来週、自身のバンドでコットンクラブにも登場!
KENDRICK SCOTT ORACLE
2017 1.23 mon., 1.24 tue., 1.25 wed.  コットンクラブ
詳細はこちら

SET LIST

2017 1.18 WED.
1st
1. BROW YOUR HORN
2. CHA CHA CHARLESTON
3. SATURDAY NIGHT SPECIAL
4. BATTLE CIRCLE
5. EMILY
6. THE JONES BROTHERS
 
2nd
1. WILD MAN
2. RUNWAY
3. TERELL'S SONG
4. BIG DADDY ADDERLEYS
5. EN LA ORILLA DEL MUNDO
6. BACK IN THE SWING OF THINGS
EC. LONG LIVE THE KING

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