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MARC CARY RHODES AHEAD TRIO / DANIEL CRAWFORD TRIO -Double Bill Show-

artist DANIEL CRAWFORD , MARC CARY

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ロバート・グラスパーのファンに、必ず"響く"に違いないセッションが今、行なわれています。キーボードの鬼才、ダニエル・クロフォードとマーク・ケアリーのダブルビル公演です。

ブルーノート東京がダブルビル(対バン)形式をとるのは久しぶりです。かつてはダイアナ・クラールとクリスチャン・マクブライドの各バンド、ジョシュア・レッドマンとベニー・グリーンの各バンド、ジョン・スコフィールドとチャーリー・ハンターの各バンド等のダブルビルがありました。1回のライヴで2つのバンドが楽しめるのは素晴らしいアイデアです。

最初に登場したのはダニエル・クロフォードのグループです。共演者はラシャーン・カーター(エレクトリック・ベース)、ステイシー・ラモント・シドナー(ドラムス)。ダニエルはロサンゼルスに生まれ育ち、これまでラファエル・サディーク、ジェニファー・ハドソン、メアリー・J・ブライジ等と演奏してきました。ダニエルは今回が初来日、シンセサイザー"コルグ・クロノス"2台を弾きます。プログラムは全曲、昨年発表されたアルバム『ジ・アウェイクニング』からのものです。レッド・ツェッペリンの「Kashmir」、弾き語りを聴かせた「Water No Get Enemy」等をたっぷり聴くことができました。「いったい一打でいくつ音を出すつもりなのか」といいたくなるほど多い手数を持つステイシーのプレイも圧巻でしたし、ウッド・ベースの若き名手であるラシャーンのエレクトリック・プレイも見事でした。

続いては大御所、マーク・ケアリー率いる"ローズ・アヘッド・トリオ"です。マークは1980年代から本格的な活動を開始し、アビー・リンカーン、アート・テイラー、ベティ・カーターといった20世紀のジャズ・レジェンドの元で腕を磨きました。1999年のアルバム『トリリウム』は若き日の彼が発表した大傑作で、ここに参加していたタラス・マティーンとナシート・ウェイツは後にジェイソン・モラン率いるバンドワゴンのメンバーになります。マークはまた、敏腕ジャズ・ピアニストとして多忙な日々を送る一方でQティップ、エリカ・バドゥらのサポートも務めてきました。"ローズ・アヘッド・トリオ"は彼がフェンダー・ローズの可能性を追求すべく結成したグループといっていいでしょう。サミア・グプタがタブラ(インドの打楽器)を仕込んだドラム・セットを叩き、エレクトリック・ベースはラシャーンが引き続き担当します。演目は最新作『ロ−ズ・アヘッドvol.2』からハロルド・メイバーンの作曲でリー・モーガンの演奏でも知られる「The Beehive」、驚愕のタブラがフィーチャーされた「Essaouira Walks」等。また「CD Changer」という曲では、9つのムードやテンポの異なるモチーフをつなげ、まさに"CDやiPodに入っている曲が勝手に選別されて再生されていく"様子を見事に再現しました。

聴きごたえたっぷりのダブルビル公演、公演は18日まで!
(原田 2015 6.17)

SET LIST

2015 6.16 TUE.
1st
DANIEL CRAWFORD TRIO
1. KASHMIR
2. UNDER THE CHERRY MOON
3. WATER NO GET ENEMY
4. THE AWAKENING
MARC CARY RHODES AHEAD TRIO
1. BEEHIVE
2. YOU CAN'T STOP US NOW
3. CHUNDRACONES
4. CD CHANGER
5. ESSAOUIRA WALKS
 
2nd
DANIEL CRAWFORD TRIO
1. KASHMIR
2. UNDER THE CHERRY MOON
3. WATER NO GET ENEMY
4. BLACK HOLE SUN
5. THE AWAKENING
MARC CARY RHODES AHEAD TRIO
1. FOR MOSEKA
2. HE WHO HOPS AROUND
3. MINOR MARCH
4. STARE AND STARE
5. CD CHANGER

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