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KEIKO MATSUI GROUP

artist 松居慶子

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

アコースティック・ピアノ、チェロ、ウッド・ベース、ドラムス。

あまり目にしたことのないユニークな編成です。が、これが実に面白いのです。あるときは情熱的に、あるときは官能的に。クラシカルな展開になることもあれば、思いっきりラテン色が濃くなる瞬間もあります。メンバー全員が笑顔で演奏し、観客からは手拍子や声援が起こります。「楽しいなあ」、自然にそんな言葉が沸き上がります。

松居慶子が新たなプロジェクトで、約1年半ぶりにブルーノート東京に出演しています。共演者は斎藤孝太郎(チェロ)、カルリートス・デル・プエルト(ウッド・ベース)、ジミー・ブランリー(ドラムス)。カルリートスとジミーはキューバ出身です。メンバーはロサンゼルスでリハーサルを重ね、この日のために備えました。

カルリートスのことはご存知の方も多いことでしょう。ボブ・ジェームスやチック・コリアらからもラヴコールを受ける凄腕です。松居は帰国中、ブルーノート東京で行なわれていたボブ・ジェームス(松居とは共演盤も残しています)のバンドを聴いて彼に魅了されてしまったとのことです。が、それもとてもよくわかります。明快な音色、抜群のイントネーション(音程がいいから、ピアノとのユニゾンがバシッと決まるのです)、よく歌うベース・ライン、ショウマンシップを感じさせるパフォーマンス、全部が華やかです。「ふつうなら多弦エレクトリック・ベースの音が出てくるんだろうな、ここはスラップ・ベースでもおかしくないな」と思えるようなパートまでも、ウッド・ベースで楽々と弾きこなします。松居が彼のプレイにいかに高く評価し、また、それを生かすべくアレンジしているかが、はっきりわかりました。カルリートスとジミーは16歳の頃から一緒に演奏しているそうですが、このふたりの息の合い方も見事。ジミーは曲によってカホン(スペインの打楽器。椅子のようになっていて、直接座りながら叩く)も担当し、さらなる陰影をバンドに付け加えていました。

「24枚のアルバム、約240曲のレパートリーから、とっておきの楽曲を選びました」と語られた通り、これまでのさまざまなアルバムからのナンバーが、この楽器編成で蘇りました。どこかわらべ歌のようななつかしさがある「Kappa」、デビュー・アルバムのタイトル曲で、そこに協力してくれたジェフ・デイとカール・アンダーソンの魂に捧げた「A Drop Of Water」、昨年のワールド・ツアーのタイトルにもなった「Soul Quest」等、どのナンバーも大きな拍手を呼びます。梅雨入り直後ということもあって、「Rainy Season」がプレイされたのも実にタイムリーです。あまりの盛り上がりに一層エキサイトしたのか、ラストにはラテンの古典的名曲「El Cumbanchero」をサプライズで披露してくれました。

公演は本日も行なわれます。ジャパニーズ=キューバン・コネクションの熱演をお楽しみください。
(原田 2015 6.13)

SET LIST

2015 6.12 FRI.
1st & 2nd
1. NIGHT WALTZ
2. FOOT STEPS
3. KAPPA
4. CRESCENT NIGHT DREAMS
5. RAINY SEASON
6. CARICIAS
7. A DROP OF WATER
8. SOUL QUEST
9. SAFARI
10. BRIDGE OVER THE STARS
EC. FOREVER FOREVER
EC2. EL CUMBANCHERO

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