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MARCUS MILLER

artist LOUIS CATO , MARCUS MILLER

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ミュージック・シーンに君臨するカリスマ、マーカス・ミラーのステージが昨日から始まりました。なんと8年ぶりの「ブルーノート東京」公演とのことです。

超絶的なスラッピングをはじき出す黄金の右手親指、トレードマークの帽子、相変わらず精悍な表情・・・彼が一音を弾き出すだけで場内の空気が一気に引き締まるような印象を受けます。オープニングは'80年代にデヴィッド・サンボーンに提供した「Run For Cover」。昨年のサンボーンの来日公演でも聴くことができたナンバーですが、地響きを起こすかのようなマーカスの超強力ベース・プレイで楽しむこの曲も格別です。多弦ベース全盛の今日、マーカスはフレット付きの4弦で存分に名手ぶりを発揮します。豪快さとキメ細かさを兼ね備えたルイス・ケイトーのドラムスが、ソリストたちをガンガン盛り上げます。

続いては、18日に国内発売されたばかりの新作『アフロディジア』からの曲が続きます。「B's River」の前半、マーカスは北アフリカの弦楽器"ゲンブリ"を弾き、やがてベースに持ち替えます。この日が誕生日だったというキーボード奏者、ブレット・ウィリアムス(14歳の時にサンボーン公演の前座を務めたことがあるそうです)の手堅いプレイも光ります。「次はモータウン・ソングを聴いてもらおう。1971年の曲だ」。そんな前置きのあと登場したのは、テンプテーションズの大ヒット「Papa Was a Rolling Stone」。印象的な前奏はそのままに、和音を大胆にアレンジしながらのパフォーマンスです。マーカスは左手を使って4弦でベース・ラインを弾きながら、右手を使って1、2弦でソロをとる高等テクニックも見せてくれました。

「Son Of Macbeth」ではスティール・パン奏者トニー・ガッピーをフィーチャー。70年代のヒット・ポップス「Funky Nassau」に通じるリズムとメロディ・ラインが躍動感を生みます。いっぽう、マーカスのバス・クラリネットをフィーチャーした「Xtraordinary」は叙情的なナンバー。ブレットのキーボードがベース・ラインを奏でます。新作ではオープニングを飾っていた「Hylife」は、マーカス流アフロ・ビートといったところでしょうか。

ユネスコの奴隷制度問題プロジェクト(Slave Route Project)の「アーティスト・フォー・ピース(音楽平和大使)」としての活動も影響を与えているのでしょう、もともと豊かだったマーカスの音楽性はさらに広がり、一層グローバルになっているような印象を受けました。公演は23日まで続きます。
(原田 2015 2.20)

SET LIST

2015 2.19 THU.
1st
1. RUN FOR COVER
2. B'S RIVER
3. PAPA WAS A ROLLING STONE
4. SON OF MACBETH
5. MY ONE AND ONLY LOVE
6. HYLIFE
EC. BLAST
 
2nd
1. RUN FOR COVER
2. B'S RIVER
3. WE WERE THERE
4. PAPA WAS A ROLLING STONE
5. SON OF MACBETH
6. MY ONE AND ONLY LOVE
7. HYLIFE
EC. COME TOGETHER

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