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STEPS AHEAD featuring MIKE MAINIERI, ELIANE ELIAS, MARC JOHNSON, BOB SHEPPARD & PETER ERSKINE

artist ELIANE ELIAS , STEPS AHEAD

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


1979年、"ステップス"としてスタート。83年に"ステップス・アヘッド"と名を改めてワールド・デビューを飾ったスーパー・グループが、本当に久しぶりに来日しています。

スタート当初はアコースティックなモダン・ジャズ路線でしたが、80年代半ばからエレクトリック楽器やコンピューター・プログラミングも取り入れるようになり、ローリング・ストーンズのサポート・メンバーになる前のダリル・ジョーンズや、ジャーニー脱退直後のスティーヴ・スミスが参加していたこともありました。今回のラインナップはリーダー格のマイク・マイニエリのほか、"ステップス"のラスト・アルバムから"~アヘッド"の初期にかけて参加していたピーター・アースキン、"~アヘッド"の初代ピアニストに抜擢されたことで一躍世界的な存在となったイリアーヌ(マイニエリは"イリアーニ・エリーアス"と言っていました)、イリアーヌの夫君でもあるマーク・ジョンソン、そしてスティーリー・ダンやチック・コリアとの共演でも知られるボブ・シェパードの5人。シェパード以外は1999年録音の作品『Holding Together』と同じメンバーです。鮮やかなテクニックを駆使した、流麗そのもののアコースティック・ジャズを聴かせてくれました。

メンバー全員が黒系統の着こなしで登場します。始まったのは『Holding Together』にも入っていた4ビート・ナンバー「Bowing to Bud」。40~60年代に活動した伝説のピアニスト、バド・パウエルに捧げた楽曲です。マイニエリは4本マレットでハーモニーを奏で、その後2本マレットでアドリブをとるのですが、そのプレイにぼくはいきなり圧倒されました。粒立ちの良い音色、どこまでもメロディアスで、しかも「今までのレコーディングには入っていないであろう」といいたくなる新鮮なフレーズ、尽きることのないインスピレーション、湧き上がるようなスウィング感、「筆舌に尽くしがたい」とは、このことです。ひげを剃り落してからずいぶん若く見えるようになったマイニエリですが、調べてみたら今年でなんと77歳。しかし彼はいまなお成長と進化の途中にあるのではないか、とぼくは思いました。まさしく、「ヴィブラフォンが歌っている」という言葉がぴったりのプレイなのです。"ステップス"時代のピアニスト、ドン・グロルニックが書いた「Pools」では、1小節目が終わらないうちに「待ってました!」といわんばかりの大きな拍手が沸き起こります。マイケル・ブレッカー、ボブ・バーグ等、歴代の所属サックス奏者が名演を残してきた曲ですが、中高域を生かしながら、ひとつひとつの音をかみしめるようにプレイするシェパードも、見事に重責を果たしていました。今回の公演で、彼に対する知名度は格段に上昇することでしょう。

オーラスでは、マークが書いた「Union Pacific」をプレイ。ちょっとサド・ジョーンズ=メル・ルイス・オーケストラで有名な「The Groove Merchant」を思わせるシャッフル系のナンバーです。アースキンの打ち出す軽快なリズムと観客の手拍子が一体となり、メンバー全員がいい笑顔のまま演奏を続けました。「35年もの間、このバンドを続けてこれて本当にハッピーだよ」と語るマイニエリ。磨き抜かれたサウンドを、ぜひお楽しみください!
(原田 2015 2.8)

SET LIST

2015 2.8 SUN.
1st
1. BOWING TO BUD
2. POOLS
3. ISLANDS
4. SOMETHING I SAID
5. B IS FOR BUTTERFLY
6. THE TIME IS NOW
EC. UNION PACIFIC
 
2nd
1. BOWING TO BUD
2. POOLS
3. ISLANDS
4. SOMETHING I SAID
5. B IS FOR BUTTERFLY
6. YOUNG & FINE
7. THE TIME IS NOW
EC. UNION PACIFIC

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