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KYLE EASTWOOD

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


映画音楽家、ベーシスト、バンド・リーダーとして活動を続けるカイル・イーストウッドが、今年も自身のバンドを率いて来日しています。9月27日には、彼が音楽を担当した映画『ジャージー・ボーイズ』が日本公開されるので、実にいいタイミングでの公演といえましょう。

父親は俳優、映画監督として不滅の名声を誇るクリント・イーストウッド。彼はまた、大のジャズ・ファンとしても知られています。カイルも幼いころからジャズのレコードやライヴに親しんでいたそうです。これまでリリースしたソロ・アルバムは6枚。ぼくはカイルに「ワールド・ミュージック的な要素も盛り込んだ、スマートなジャズ・フュージョンを聴かせる奏者」という印象を持っているのですが、今回のステージは、これまで以上に骨太でスウィンギーな、伝統的アコースティック・ジャズへの深い愛情を感じさせるものでした。

メンバーはカイルのベース(エレクトリック・ベース2種とアップライト)のほかに、クエンティン・コリンズ(トランペット)、ブランドン・アレン(サックス)、アンドリュー・マコーマック(ピアノ)、エルネスト・シンプソン(ドラムス)。ブランドンはマイケル・ブレッカーからの影響を感じさせる奏者で、ハーモニクス(倍音)の使い方が抜群です。エルネストはキューバ出身、オマール・ソーサやリチャード・ボナのバックで来日したこともあります。彼の自由自在なドラム・プレイは、間違いなくカイル・バンドの新しい魅力であるといえましょう。クエンティンもかつてないほど豪快に吹きまくり、音色の輝きもアドリブのアイディアも"パーフェクト"といっていいものでした。

プログラムは新曲の「Capirinha」、「Bullet Train」で幕を開けます。来年リリース予定のニュー・アルバムに収められるとのことですが、日本のファンにいちはやく聴かせてくれるのがうれしいですね。「Peace of Silver」は、先ごろ亡くなった巨匠ホレス・シルヴァーに捧げたナンバー。5拍子のリズムを、抜群にグルーヴさせるエルネストのプレイが圧巻でした。

カヴァー曲ではハービー・ハンコックの「Dolphin Dance」、ホレス・シルヴァーの「Blowin' the Blues Away」が演奏されました。前者はジャコ・パストリアスのヴァージョンを参考にしたのでしょうか、エレクトリック・ベースでしっとりとメロディを綴りました。18日、19日の公演ではいったいどんなナンバーを楽しませてくれるのか、聴き逃せません!
(原田 2014 9.18)

SET LIST

2014 9.17 WED.
1st
1. FROM RIO TO HAVANA
2. BULLET TRAIN
3. MARRAKECH
4. PEACE OF SILVER
5. DOLPHIN DANCE
6. LETTERS FROM IWO JIMA
7. UNE NUIT AU SENEGAL
EC. BLOWIN' THE BLUES AWAY
 
2nd
1. CAIPIRINHA
2. BULLET TRAIN
3. MARRAKECH
4. PEACE OF SILVER
5. DOLPHIN DANCE
6. LETTERS FROM IWO JIMA
7. UNE NUIT AU SENEGAL
EC. BLOWIN' THE BLUES AWAY

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