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JOYCE -RAIZ- @Cotton Club

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


今年もこの爽やかな歌声がライヴで楽しめます。夏の風物詩、ジョイス・モレーノの公演です(彼女は2009年からこのステージ・ネームを名乗っています)。15日と16日には「ブルーノート東京」での公演が行なわれますが、ぼくは7月12日の「コットンクラブ」初日を見てきました。「コットンクラブ」には本日13日も出演します。

会場はジョイスの登場を待ちわびるファンでいっぱい。愛用のアコースティック・ギターを抱え、ファンからの"Boa noite"(こんばんは)という声にやさしく応えながらバンドスタンドにあがります。とんでもなく多くのレパートリーを持つ彼女ですが、今回はレコーディング・デビュー50周年記念の最新作『ハイス~私のルーツ~』のナンバーが中心。彼女に初めて吹き込みのチャンスを与えたホベルト・メネスカル作「O Barquinho」、アントニオ・カルロス・ジョビン作「Desafinado」、アリ・バホーゾ作「Bahia」をはじめとする大スタンダード曲を、存分に楽しむことができました。

アレンジにはすべてジョイス流のこだわりが貫かれており、リズムもいわゆるボサ・ノヴァ・タイプのものばかりというわけではありません。メロディをフェイクするジョイス、ブラッシュとスティックを使い分けながらスイングする夫君トゥチ・モレーノのドラムス、ハービー・ハンコックへの敬愛を感じさせるエリオ・アウヴィスのピアノが一体となった響きに、ぼくは強く"ジャズ"を感じました。ベースのブルーノ・アギアールは、"現代ミナス派の台風の目"ことアントニオ・ロウレイロとも親交の深い奏者。曲によっては美しいバック・コーラスも聴かせてくれました。また、バーデン・パウエルのソングブックからは「Canto de Yansan」を披露。まるで'70年代のスピリチュアル・ジャズを思わせるアグレッシヴなサウンドが響く中、ジョイスの絞り出すような歌声が深い余韻を残しました。ぼくは彼女のライヴを'93年以来、何十回も見ているのですが、こんなアプローチは今まで一度も生で味わったことがありません。

カヴァーではなく、"再作曲"と呼びたくなる圧巻のセッションでした。50年を迎えた現在も、ジョイスの進化は止まらないのです。
(原田 2014 7.13)

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